2018.02.14

やってマイナスになることは絶対ない!

中一で英語大好きにさせる切り札は、オンライン英語

川端真広さん (鈴鹿中等教育学校)
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2017年4月より中高一貫校となった三重県の鈴鹿中等教育学校 。私立の進学校として東大、京大ほか有名難関大学に卒業生を送り込んできた同校では、2020年に大きく変わる大学入試を見据えた変革がスタートしています。「知的偏重型」から思考力や判断力を多面的に評価する「知的活用型」の入試に移行する中で、提供する英語教育も変えていかねばならない。そんな決意の一環として同校では、中学1年生全員を対象にしてオンライン英会話をスタートさせています。英語科主任の川端先生に詳しくお話を伺いました。

受験英語一本からの脱却を模索

従来当校は鈴鹿中学校、鈴鹿高等学校が併設されている形でした。その際も高校で習うような内容を中学で教える先取り学習というものはされていました。ですが、本年度から鈴鹿中等教育学校という中高一貫校を作ったことで、より早い学年から先取り学習を進めていけるような、 中高の縦のつながりと結束が一層強まった学校に生まれ変わっているところです。進学校として新しい入試に対応していくのはもちろんですが、グローバル教育にさらに重きを置く方向に進んでいます。

英語に関しては、これまで 受験英語が中心だったので脱皮しているところです。新しい英語教育の流れを作っていこうと、オンライン英会話や英会話スクールなど外部の協力も仰ぎながら、実用英語の部分も学校システムの中に取り込もうとしています。

外国人と話す機会を増やしたい

入試をベースに考えていくと読解、リスニングというインプット中心の英語教育がこれまでの要でした。 ですが英語の試験の内容が4技能型になりつつあるだけでなく、実際に使える英語を手に入れるべきだという世の中の流れを考えると、「英語そのものへの興味を喚起していかなければ」という考えが教員の間でも強くなってきたんです。

となると、英語でのダイレクトなコミュニケーションで意思の疎通が取れたという成功体験が重要になってきます。 生徒同士でペアワークをして英語を使わせるやり方もあるのですが、日本人同士だと英語で話す意義というのを、どうしても感じにくい部分があるもの。

それを打破するためには、英語ネイティブや外国人と話す機会をどんどん与えてあげたい。今年から英語ネイティブの教員をフルタイムで採用しているのもその一環ですが、オンライン英会話はマンツーマンで話せるのが魅力で、そこが導入に踏み切った理由ですね。

1対1の良さを即実感

初年度となる今年は、本校に入学したばかりの1年生に対してのみ導入していて、1年で4回実施することになります。1クラス30人編成ですが、一度につなげられるのは15人が限界なので、1クラスを半分に分けています。ですから、1人の生徒が1回の授業でオンライン英会話を受講する時間は25分間です。もう片方のグループは、最近できた新図書館に移動させて、文法定着を図る演習問題をさせています。これを交代で行うわけです。

初回は「自分を語る」という内容のレッスンでした。レアジョブのオリジナル教材の中から、自己紹介に関する教材を使いました。2学期に行う2回目、3回目のレッスンでは、自分だけにとどまらず、家族や学校、地域について、さらには日本の文化について語るというように範囲を広げていく予定です。

生徒からは「楽しかった」という感想が多くありました。1対1で話せるのがうれしいようでしたね。集団だと周りに遠慮して言えないこともマンツーマンだと言える。しかも先生がしっかり耳を傾けてくれて、追加で質問も投げてくれる。さらに、自分が話さなければという責任感も出てくる。「授業、もうずっとこれ(=オンライン英会話)でええやん!」と言った生徒もいました(笑)。

「英語は文系、理系両方の“頭”が必要」が持論

個人的には英語に限らず、常に頭を使う生徒になってほしいと思っています。それから英語は文系科目でありながら理系科目でもあるとも考えています。他言語なので、多くの情報を吸収、蓄積しなければならないという文系科目の特色はもちろんあります。ただそれと同時に言語はロジックが強い部分もある。文章読解する上で相手が使っている、または一般的な文章表現のロジックにのっとって思考していくことも必要になります。相手の言いたいことを理解していく上での頭の使い方については数学に通ずる理系的な部分もある。言葉を吸収する上での文系系要素と、言葉を運用していく上でのロジックに従った理系的な要素が表裏一体で存在するという感じでしょうか……。

そんな思いがあるので、英語という科目を通して文系理系どちらにも必要な要素を教育していければという命題のようなものが私の中にはあるんです。言葉の論理を利用した読解を重視して教えているのもそんな思いから。生徒に細かい意図まで伝わっているかわかりませんが(笑)。

放課後や家庭での利用も見据えて

全4回という回数が果たして適切なのかは気になります。2回目のオンライン英会話を実施したときには、初回よりも少しでもいいから話せていると感じてもらえたらいいですね。ただオンライン英会話を行う間隔が空きすぎて生徒が前回の記憶がないと比較にならない状況も考えられます。たとえば過去の様子が映像で残すことができれば、新たに受ける直前に確認して「前回はこんなふうに会話していたなあ」という振り返りができますよね。となれば、過去と今の自分のスピーキング力の比較がしやすくなります。 成長がわかるよう記録していくのも、学校側の課題だと感じています。

また、授業で年4回やるのとは別に、放課後に生徒が自主的に残って行うといった選択もできればいいなと思っています。 授業で行い、放課後のレッスンに展開し、そのあと家庭までもっていければ理想的ですね。

さらに今の1年生は3年生でシンガポールに3泊4日、4年生(高一)で1週間ほどセブ島に語学研修に行く予定です。加えて、これまでは4年生で希望者が行っていた10日程度のオーストラリアへの語学研修を、今の1年生は5年生で行けるチャンスもあります。つまり、3、4、5年生で海外に行けるチャンスが生まれるんです。これらに向けての準備段階として、将来的にはオンライン英会話を活用していきたい。それから、英語に対するモチベーションが高くなる研修直後にも積極的に活用していきたいです。

絶対にマイナスにならない!


もし「オンライン英会話の導入を検討中なのだけれど」と他校の先生から相談を受けたら、まず「やってマイナスになることは絶対ないよ!」と言いたいです。英語で最も大きな壁の1つに「英語をどうしても使わなければ!」という必要性を生徒に意識させるのが難しいという場合があります。中学で英語から逃げる生徒の発言には「英語なんていらんやん!」が多いんです。「最低入試ではいる」と言うと、「そんなの3、4年後でしょ」となる。当校は高校受験がないので、中一のターゲットは大学入試になってしまうんです。これだと早くから英語学習にモチベーションを持たせるのが難しくなります。

でも逆に、中一で「ただなんとなく英語が好き」と思わせることも可能です。実は6年(高3)6月時点で810点満点のGTECで809点を取った生徒がいるんですが、この子は帰国子女ではなく純ジャパ(日本の中学・高校の授業で英語を学んだ人)なんです。けれども中1から英語に対する興味がすごくあって、英語に関する知識は全部吸収してやるくらいの意気込みでした。

そんな英語好きを作るには、早い段階で「英語を話すのが楽しい」という体験をさせることが必要だと思うんですよね。英語への興味を持ってもらえたらと、中一の授業で金髪のカツラかぶろうかと割と真剣に考えたことも私はあるんですが(笑)、オンライン英会話はそんな発想とは比べ物にならない効果があります。外国人と1対1でつながれる魅力を、学校でいちばん手っ取り早く提供できる手段ではないでしょうか。

取材を終えて

大学生のときに家庭教師として教えた子供たちが勉強で苦しむ姿を見て、「勉強で苦労する子供をなくしたい」という熱い思いを胸に教員になった川端さん。教員生活の全てを同校に捧げているとあって、愛校心も言葉の端々から伝わってきました。川端さん、そして同校が推し進める英語教育改革で育った生徒さんたちの今後の成長が楽しみです。

 

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