2017.06.26

空港や観光の現場で求められる意思疎通の力

臆せず話せる自信を身に付けてほしい

宝賀知之さん (経専北海道観光専門学校)
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経専北海道観光専門学校は、2018年に創立50周年を迎える歴史ある専門学校です。キャビンアテンダントやグランドスタッフを目指す学生が多く学ぶ同校のエアライン科と、アメリカやオーストラリアに提携校を持つ留学ツーリズム・イングリッシュ科 がレアジョブのオンライン英会話を授業に導入したのは、2016年のこと。航空業界では、どのような英語力が求められているのでしょうか?経専北海道観光専門学校旅行科/エアライン科 就職担当及び留学ツーリズム・イングリッシュ科担当の宝賀知之さんにお話をうかがいました。

就職率の高さと実践的な授業に定評のある老舗専門学校

札幌駅から地下鉄で約15分。道内で唯一の観光系単科の専門学校である本校には、ホテル科、ブライダル科、旅行・鉄道科、エアライン科、留学ツーリズム・イングリッシュ科の5つの学科があります。学生の就職希望企業ランキングで毎年上位にランクインする旅行業界、航空業界への高い就職実績を誇る本校の強みは、実践的な知識・スキルを身に付けられる学習環境と授業です。エアライン学科では、航空機の機内や空港のカウンターを忠実に再現した実習室、航空会社が実際に使用している発券システムを使った授業のほか、ANA、JALでのマナー講座、面接練習会といった校外研修も実施。さらに、近年需要が高まっている韓国語、中国語の授業や道内の他の専門学校に先駆けたオンライン英会話の導入など、時代とともに変化する業界のニーズに幅広く応える人材の育成を行っています。

年間カリキュラムの3分の1が英語

さまざまなシーンで英語力が求められる業界ですから、やはり英語教育にはとても力を入れています。特にエアライン科のカリキュラムは、年間1800時間のうち3分の1が英語関連の授業。英会話に関しては、オンライン英会話以外に、クラス単位で行うグループレッスンも実施しています。とは言え、初めてのオンライン英会話はやはり緊張したようで、skypeの着信音を聞いても「かかってきちゃった!」なんて言いながら、なかなか応答できない学生もいました(笑)。今の学生はALT(Assistant Language Teacher/外国語指導助手)の授業を受けてきた世代ですから、外国人と話すのが初めて、ということはまずありません。ただ、グループレッスンの場合、自分が話さなければならない時間はせいぜい3分程度ですが、オンライン英会話は1対1で25分。初めの数回は、レッスンが終わると疲労感たっぷり、という状況でしたね。

自分の力で意思疎通の方法を見つけ出す

でもだいたい5、6回レッスンを終える辺りから、みんなあまり身構えなくなってきたように思います。フランクに話せるようになる、という感じでしょうか。それにSkypeには文字を入力してやり取りをするチャット機能も付いているので、伝わらない単語はその場でタイピングして、先生に正しいスペルや発音を教えてもらうこともできる。初めは分からない言葉があるとすぐ日本語が出てしまっていた学生も、回を重ねるごとにチャットやスマホの辞書などを上手に使いながら、なんとか英語でやり取りができるようになってきました。
このようにして「自分自身の力で意思疎通の方法を見つけ出す」という姿勢こそ、航空業界で働く際には必ず求められる力です。
今の日本の英語教育は、やはり文法などの知識習得が中心で、学生はどうしても頭でっかちになりがち。いくら知識があっても、それを言葉にして表現できなければ意味がありません。国際空港で勤務することになれば、日常的に外国人とコミュニケーションを取る場面がありますし、航空会社の採用試験では英語の面接が行われることもある。「入社後に何をしたいですか?」と聞かれたら、自分の知っているボキャブラリーを駆使して、答えられなければならないのです。

外国人にも臆せず話せる度胸を身に付けて

マンツーマンで話し、通じたという経験をすることで、学生たちには相手が外国人であっても、臆することなく話せる度胸が身に付いたというか、外国人に対する“壁”がなくなってきたように思います。間違ったらどうしようという不安が大きくてなかなか話せなかった学生も、自分の言葉が相手に伝わる喜びを知ると自信が付くし、心の持ち方も変わってくる。先生とのちょっとした雑談も、英会話の楽しさを知るきっかけや、外国の文化や外国人の考え方に触れるいい経験になっていると思います。
入学時の学生の英語力やモチベーションには差がある中で、学生全員の英語力をぐっと底上げしたいというのが、私の抱いている目標の一つ。全員がそれぞれのレベルに合わせたレッスンを受けられるオンライン英会話を導入したことは、そういった意味でもよかったと感じています。

–ありがとうございました。
「『何を話せばいいのか分からない』と不満をもらしていた生徒が、自分の英語が通じる喜びを知ることで大きく変わった」というお話が印象的でした。分からない言葉があっても日本語に頼らず、英語だけでコミュニケーションを取ることができたという体験は、生徒の皆さんにとって大きな自信につながることでしょう。卒業後の旅行業界、航空業界でのご活躍を心よりお祈りしています。

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