2017.03.10

“化学×バスケ×英語”で100万人に1人の存在に

これからは一芸だけでは生き残れない時代

森原康好さん (柳学園中学高等学校 教諭)
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高等学校の教師(化学)をされている森原様は4年ほど前 から英語学習を始められました。教師としてのお仕事だけではなく、バスケットボール部の顧問としてもご活躍されながら、毎日欠かさず学習を続けられています。今回は、そんな森原様に英語への熱意を保つ秘訣と日本の英語教育を見据えた今後のビジョンについて詳しくお話をうかがいしました。

化学の教師、そしてバスケットボール部の顧問に憧れて。

——まずは先生を目指された理由をお聞かせいただけますか?
大学では理学部で無機化学を学んでいました。理系だと、普通は大学院に進学して企業の研究職などに就くことが多いと思いますが、そこにはモチベーションを感じられず、大学3年の終わりに教師になろうと決めました。
教師を目指し始めてからは、バスケットボール部の顧問になることも希望していました。その夢は今年度叶ったのですが、実は僕も高校生のときバスケットボール部だったんです。顧問の先生はいたものの、その方はバスケットボールに関して素人でした。仕方なく自分たちで指示を出し合う必要があったり、実力があるメンバーが試合に出たくても出られないこともありました。だからいつか自分が顧問をやりたいと思うようになったんです。

文系でも理系でも必須の英語を共通のネタに

——念願の化学の先生になられた後、英語を学ぼうと思われたのはどうしてでしょうか?
20代後半に、実は一瞬転職を考えたことがありました。思春期真っ只中の生徒たちと思うようにコミュニケーションが取れなくなってしまった時期があったんです。でも、転職するには、教員免許以外の技能が必要です。何か資格を取得したり、知識を身につけなくてはいけないと考えて、ファイナンシャルプランナーの勉強と、リスニング教材を使っての英語の勉強を始めました。それが僕の英語学習の始まりです。

ファイナンシャルプランナーのほうは事情があって続かなかったんですが、英語だけは今でも続いてますね。英語学習を始めた頃、リスニング教材をずっと続けているうちに、聞いてるだけじゃ話せるようにはならない。もっと話せるようにならなければいけないと考えるようになりました。
でも、淡路島には大手の英会話スクールはないし、地元の英会話教室は週1くらいしかありません。もっとレッスンの回数が多いところを探しているうちに、レアジョブ英会話を見つけたんです。無料の体験レッスンを受けてみたところ、直感的に「これだ!」と思いました。

生徒数の多い学校では文系クラスと理系クラスにきっちり分かれることも多いと思いますが、うちの学校は人数が少ないので、文系も理系も関係なくクラスを振り分けられます。授業の時だけ文系と理系に分かれるようになっているんです。
だから、担任を持っていても、文系志望で化学を取らない生徒とはなかなか話すきっかけがないんですよ。でも、英語なら文系でも理系でも共通の教科ですよね。英語の先生が英語を話すのは当たり前ですが、化学の先生が話せるなんてなかなかないと思いますし、そういうのもいいと思うんです。

レアジョブ英会話を始めて3カ月くらいの頃、オーストラリアからの短期留学生と一緒に英語で化学の実験をしたことがありました。実験自体は簡単なものでしたが、英語で説明するのは思ったよりも難しかった。このとき、もっと流ちょうに話せたらなあと思いましたね。

生徒とのコミュニケーションのネタにもなるので、英語の問題を生徒と一緒に考えたり、僕が知りたい単語を生徒にわざと聞いて教えてもらったりしています。僕がレアジョブ英会話で学んだ知識を生徒に共有したりもしていますよ。

妻に海外に連れていくと宣言。続けざるを得ない状況に追い込む

——日々お仕事でお忙しい中、続けていくためにどのような工夫をされていますか?
まずは、レッスンを予約するタイミングを決めることでしょうか。修学旅行の引率や帰省のとき以外は、ほぼ毎日受講しています。基本的には21時~23時くらいの間が多いですね。休日は部活に行く前の7時半~8時に受けています。その日の予定を考えたときに、帰宅してからではしんどいなと思ったら、朝一番で受けるようにしています。そして、レッスンが終わったらすぐに次のレッスンの予約を入れる。これが毎日続けるコツですね。

うちの学校は英検に力を入れているのですが、生徒数が少ないこともあって、希望者には一人20分、英語科教諭が直接面接指導をしています。僕も将来的には面接指導に携われたらと考えているんです。このことも英語学習を続けるモチベーションになっていますね。

バスケットボールを英語で指導することも考えていますよ。「バスケットボール部に入れば、英語もできる」というのもいいじゃないですか。こんな風に全部つなげていったらいいんです。

他に続けるコツと言えば、英語の勉強をしていることや目標を周りに公言することです。僕はレアジョブ英会話を始めるときに、妻に「いつか英語が話せるようになったら、海外に連れて行ってあげる」と約束しているんです。妻にそう宣言することで、続けざるを得ない状況に自分を追い込んでいます。勤務先ではまだ公言していないのですが、最近やっと少しずつ周りに話し始めているので、また頑張る理由ができましたね。

化学・バスケ・英語の掛け合わせで100万人の中の1人になりたい

—将来に向けてどのようなビジョンをお持ちでしょうか?
いろいろな生徒とコミュニケーションをとるためにも、化学だけでなく、英語力ももっと高めていきたいと思っています。今、小学校からの英語科目導入など、日本の英語教育のあり方が変わってきていますよね。日本人はリーディング・リスニングよりもスピーキング・ライティングのほうが不得手なので、その技能の強化が求められています。たとえば大学入試においても、英語で化学の問題が出されたり、英語で答えさせたりすることも将来的にはあるかもしれません。そうなれば、いよいよ僕の出番ですね(笑)。

これからの時代、勝ち組になるには「この人しかない!」という何かを持っている人です。東京で初めて民間人として学校長になった藤原和博氏が「100万人に1人の存在になれ」と提唱していますが、100万人に1人の存在になるには一芸だけでは難しいですよね。だからその藤原氏は、何かの分野で100人に1人の存在になれるものをつくって、それを3つかけ合わせたらいいと本の中でおっしゃっています。僕もそれにすごく共感します。そうしたら100×100×100で、100万人に1人になれるじゃないですか。僕の場合は化学・バスケ・英語の3つです。化学教師の中だけで100万人のトップになるのはさすがに難しいですが、3つの分野に分けて、それぞれ「100人の中では自分の右に出る人はいない」状況を作れば、100×100×100で100万人に1人の存在になれるんじゃないかと思うんです。

生徒との共通のネタとしての英語力を磨くこと、そして今僕が取り組んでいることが生徒たちの将来に少しでもプラスになればいい、そう考えています。

——ありがとうございました。
文系・理系共通の話題になれる英語を自ら学び、生徒とのコミュニケーションツールとして上手に使いこなされている森原様。「化学とバスケと英語をかけ合わせることで希少性の高い存在になりたい」と、日々努力されている姿は生徒さんにとっても、非常に頼もしく見えるのではないでしょうか。今回英語に対する熱い想いをお聞かせいただき、ありがとうございました。

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