2019.10.15

教育×テクノロジーを組み合わせ、カンボジアの子どもたちに未来を贈る

英語=可能性を拓く価値あるツール オンライン英会話を活用して学習機会を提供する社会貢献活動

SCSKグループ社会貢献活動クラブEarth Oneさん (SCSK株式会社)
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SCSK株式会社は、コンサルティングから、システム開発、ITインフラ構築・ITマネジメント、BPO、ITハード・ソフト販売まで、ビジネスに必要なすべてのITサービスを、フルラインアップで提供している“グローバルITサービスカンパニー”です。
「夢ある未来を、共に創る」という経営理念のもと、良き企業市民として社会と共生し、協働することをテーマに社会貢献活動にも取り組んでいます。
今回お話を伺ったのは、同社グループの有志が集う社会貢献活動クラブ「Earth One」の皆さん。支援しているカンボジアの中学校の生徒とのインターネット交流プロジェクトと、生徒たちに提供しているオンライン英会話レッスン、その先に広がる可能性について語っていただきました。

途上国の教育支援のため、カンボジアに学校を設立

Earth Oneは“社員が社会課題に触れ、自発的に課題解決に取り組む機会を提供する”という目的のもと、2008年に設立されました。現在の会員数は約800名。活動の幅は多岐にわたり、障がい者の社会参加支援、途上国支援、環境活動、地域活動など、これまで約400件のアクティビティに対し、のべ4,500名の参加実績があります。

2009年8月、「ITで社会貢献活動をしたい」「途上国の子どもたちの教育支援をしたい」という会員の提案によって、PCルームプロジェクトを開始しました。グローバルITカンパニーであるSCSKの社会貢献活動として着目したのが“IT教育”。教育機会の提供を通じて、安定的な就学・就労支援に結びつけていきたいと考えたのです。会費の一部を積み立て、2014年1月にカンボジア・トボンクボム州ドンテイ村の中学校に校舎を設立。加えて、パソコンおよび周辺機器も十数台を寄贈し、教師に対するITトレーニングも実施しました。

ITで、英語で、子どもたちとコミュニケーションを

教育支援は、単なる“点の取り組み”で終わるものではありません。PCルームというハードの整備だけでなく、それらをいかに活用し、日々の教育に落とし込んでいくのか。Earth Oneでは、IT教育・英語教育のプログラムなど、ソフト面のサポートや継続運用などにもコミットしていく必要があると考えていました。

2017年1月には、プレイベン州スマウング村にある中学校に対し、既存校舎の改装とパソコンおよび周辺機器の寄贈を行いました。その際、SCSKとEarth Oneが共同で同校のネーミングライツを取得。学校名を「The SCSK Prey Veng School for Dreams」(以下、SCSK校)と命名しました。こちらにはITと英語の専任教師を雇用するなど、より踏み込んだ教育支援が実現できました。
また、同校ではインターネット環境の整備も実現。そこでスタートしたのが、インターネットを活用した交流プロジェクトです。これは、Earth Oneのメンバーがインターネットの通話ソフトを活用してSCSK校の生徒たちと交流し、英語で会話する機会を提供する取り組み。メンバーはSCSKの豊洲本社をはじめとした国内・海外の各拠点、場合によっては自宅や出張先からも参加可能で、毎月1回のペースで実施してきました。

開校式典の様子

原点回帰、そしてオンライン英会話の導入へ

一方で、Earth Oneは有志が集う社会貢献活動クラブであり、活動も業務時間外に限られます。英語学習、特に英会話を身につけるには一定量のアウトプットが欠かせませんが、Earth Oneメンバーによる月に1回の交流会だけで十分な学習機会を提供するには時間的に限界がありました。より良い方策を求めてディスカッションを重ねていくなかで、改めて原点に立ち返ることにしたのです。

Earth Oneの活動の目的は、途上国の子どもたちへ教育機会を提供すること。
そして、英語力が向上した結果としての安定就学や安定就労への支えになることこそ、Earth Oneの目指すべき未来ではないか——。

事実、SCSK校の生徒たちの英語学習に対するモチベーションの高さを、交流会に参加したEarth Oneメンバーは強く感じ取っていました。彼らにとって最適な学習環境を模索するなかでたどり着いたのが、SCSKが企業研修として導入していたオンライン英会話レッスンです。既に寄贈していたインターネットとパソコンを活用した、英語教育のプロフェッショナルによる英会話指導を提供し、結果として、これまでの月1回の交流会と比べて高頻度で英語教育を行えるようになりました。
フィリピン在住の英語講師が、インターネットを介してSCSK校の生徒たちに英会話のレッスンを行う——まさしく、ITを最大限活用してグローバルにつながった画期的な学習環境を実現できたのです。


レッスン受講の様子

現在、SCSK校の生徒たちは、1回25分のレッスンを週5回受講しています。生徒たちの授業がない週末は同校の英語教師がレッスンを受講し、教師の英会話力向上にも役立っています。
生徒たちが楽しみながら英語を学ぶ様子を見ていると、この活動の価値の大きさを実感することができます。
また同時に、オンライン英会話レッスンの導入前後で、生徒たちの英会話力にも顕著な変化が現れました。Earth Oneメンバーとの交流会でも非常にイキイキと、そして自信を持って英語によるコミュニケーションができています。

世界とつながる扉、夢を実現するツール――それが、英語の価値

カンボジア全体で見ると、高校への進学率はまだ決して高くありません。都市部でも約50%、農村部では20~30%にとどまるのが実情です。一方で、英会話力に自信をつけたSCSK校の生徒たちは、会計士や医師、英語の教師など、目を輝かせながら将来の夢を語ってくれます。海外の英語講師と毎日英会話レッスンを行える環境や、その結果として、英会話力が伸びていると実感できることが、生徒たちの未来への希望や可能性を広げている。そうだとすれば、こんなに喜ばしいことはありません。2019年度実績では、同校からの高校進学率が85~90%に上がり、微力ながらも教育支援に貢献できているのではないかと考えています。
英語を使いこなせれば、高等教育を受けたり、安定収入を得られる職業に就いたりする可能性が広がります。それだけではなく、視野を広げ、グローバルに活躍するチャンスも広がっていくでしょう。それが他ならぬ“英語の価値”なのではないでしょうか。
この活動を通じて、カンボジアの子どもたちとの交流により、英語の価値を折々で感じています。SCSKは米州、欧州、中国、アジア各国にも拠点を持っているので、事業においても英語能力が求められるシーンが多々あります。多様な文化圏の人々とのやり取りを通して世界中の知識や知恵、価値観を学び、自分自身の知見を深めていく。そのためにも英語は、非常に重要なコミュニケーションツールです。英語は、国内だけに向いていては決して得られない価値ある経験を与えてくれます。たとえ文化や歴史的背景がまったく異なる人々とでも、英語という手段を通じて相互理解やネットワークを育むことができる。共通言語としての大いなる価値が、英語にはあると思います。

SCSK校生徒とEarth Oneメンバーの交流会

インターネットが世界的に普及し、誰もが簡単に使えて生活には欠かせないツールとなっている一方、それを使いこなすための知識やセキュリティリスクなどに関するIT教育はまだまだ十分ではなく、これからますます必要になる大きな可能性を秘めています。今後は、英会話のみならずSCSKの本業での知見を発揮して、ITを利用するうえでの情報セキュリティの大切さやプログラミングの楽しさなどを教えるといった、ITリテラシー向上につながる取り組みによって、SCSKの専門性をより一層活かしたさらなる教育提供への発展も検討していきたいと考えています。
SCSKとして、Earth Oneとして、テクノロジーと英語を組み合わせて途上国の子どもたちの未来を育む活動の可能性をこれからも探り続けていきたいと思います。

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