2018.01.12

夢を叶えるために55歳から英語学習を開始

海外ボランティアという大きな夢と7年間積み重ねた英語学習

堀純児さん (元 中学校教員)
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堀さんは、30年以上社会科の教員として活躍され、55歳のときに英語学習を始めます。それは、20年ほど前から夢見ていたシニア海外ボランティアへの挑戦を諦めたくないという気持ちがモチベーションとなってのものでした。英語学習を7年間続けて夢だったシニア海外ボランティアへの参加を果たした堀さんに、数多く試されたという英語の勉強法とチャレンジをするときの心構えについてお話を伺いました。

シニア海外ボランティアに行く夢を叶えるため英語学習を開始

大学を卒業してからずっと、中学校の教員として社会科を教えてきました。私に転機が訪れたのは、20年ほど前のことでした。JICA(国際協力機構)の青年海外協力隊やシニア海外ボランティアの活動を視察に行く教師海外研修の機会があったので、興味が湧いて参加したのですが、そこで見たシニア海外ボランティアの方の姿が生き生きとしてすごく眩しく映ったのです。とても刺激を受けた私は、「自分もいつかシニア海外ボランティアに行きたい」と思いました。
そう思ってからも、「社会科の授業を良いものにしよう」と仕事に100%のエネルギーを費やしているうちに日々が過ぎていきました。そうして55歳になり退職が迫ってきた頃に「そろそろシニア海外ボランティアについて本格的に準備を始めよう」と思い、募集要項を確認しました。すると、英検が必須要件の中に含まれていることに気付いたのです。
昔から、海外への興味はあり、海外放浪記を読んでは胸が躍りました。いろいろな国の文化や価値観を知りたいと思ったことも、社会科教員を志した理由のひとつです。しかし、英語に関しては特に思い入れが無く、人並みの受験勉強しかしていません。また、私が学生だった頃は英会話やリスニング音源なども普及していない時代だったので、読み書きは最低限できても聞く・話すはまったくできません。このままではシニア海外ボランティアに行けないぞ、まずいなと思い、英語学習を開始しました。

テレビ、ラジオ、公開講座、オンライン英会話などさまざまな学習法に挑戦

最初は、テレビとラジオを使って英語学習を始めました。しかし、自分ひとりだけで学習を継続するのは難しいと感じたので、住んでいた地域にある大学で土日に開催されている、英会話の公開講座に足を運ぶようになりました。午前中にとある大学の公開講座を受けて、午後からまた別の大学の公開講座に行ってというように、はしごをすることもありました。参加者は、海外旅行がお好きな方や英会話が長年の趣味である方が多く、みなさんとても英語を聞く・話す能力が高かったです。講座はとてもアットホームな雰囲気で、講座終わりにはみんなで喫茶店に行って英語学習法の情報をシェアしたりもしていました。しかし、公開講座はネイティブの先生1人と生徒20人ほどで行います。そのため、生徒同士でコミュニケーションを取る機会がほとんどで、いざネイティブの先生の言葉を聞き取り、ネイティブの先生に言いたいことを伝えようとするとまだまだハードルが高いなと感じていました。
英語の勉強を始めて4年ほどが経った頃、とある方から「私はインターネットを使って勉強をしているよ」と聞きました。パソコンに疎かったも私には、時間や場所に縛られずインターネットで学習できるということがとても衝撃でした。早速インターネットで英語学習サービスを検索していろいろと試し始めました。そして、最後に辿り着いたのがレアジョブ英会話でした。
初回のレッスンで担当してくれた先生は、とても優しく丁寧に教えてくれる方でした。こちらのペースに合わせてゆっくりと話してくれたので、緊張がほぐれてレッスンを続けていくことができました。教員の仕事をしながら英語学習を両立させることは大変でしたが、話す力が少しずつ付いてきていると実感できたので、とても嬉しくなり、毎日のレッスンが楽しみになりました。

日常生活にリスニングとスピーキングを組み込んで体に英語を慣らす

英語学習において特に苦戦したのは、やはりリスニングとスピーキングでした。リスニングでは、ネイティブの英語になかなか慣れないので、先生の話すスピードが少し速くなった途端に、聞き取れなくなることが多くありました。リスニング強化のためにはとにかく英語をたくさん聞いて慣れるしかないと思い、朝起きてすぐヘッドホンを付け、トイレやお風呂の中ででもずっとリスニング音源を聞くことにしました。CDは40枚くらい買いましたが、特によく聞いていたのは「瞬間英作文」のCDです。一方でスピーキングは、語彙や表現は知っていても、いざ話そうとするとスラスラと言葉が出てこなくて詰まってしまっていました。咄嗟に話す力を付けるためにはとにかくフレーズを体に馴染ませるしかないと思い、トイレや寝床の壁に英会話においてよく使うフレーズを貼りました。暗誦できるようになるまで何度も唱えて、頭で考えなくても自然と言葉が出てくる状態を目指したのです。

シニア海外ボランティアのためにスペイン語も習得

そうして、英語学習を続けながら海外ボランティアへの挑戦を始めました。まずは、シニア海外ボランティアの準備として、夏休み1ヶ月間を使って国際ボランティアNGOであるNICEの国際ボランティアに参加しました。義務教育を受けられない子どもたちに教育機会を提供しているベトナムのNGOの施設で掃除や調理をしたり、アメリカで体が不自由な方のお世話をしたり、ドイツで世界平和について発信している団体の広報活動を手伝ったりとさまざまな経験を積みました。そして、62歳のときに、JICAのシニア海外ボランティアに合格し、夢を叶えることができました。赴任先となったのは、エルサルバドル。スペイン語圏の国なので、赴任が決まってからはスペイン語の学習に切り替えました。ただ、それまでに英語の勉強をしてきたことで、英語と似ているところ、違うところに気付きながら効率的にスペイン語を勉強できたと思います。
エルサルバドルでは2年間、現地の方に日本語を教えました。生徒の中には、エルサルバドルで英語教師を務めていて転勤になったために、私の授業を最後まで受けられない方もいたのですが、別れ際に「堀先生、日本にご家族がいる中でわざわざエルサルバドルまで私たちに日本語を教えに来てくれてありがとう。」と言ってくれたときはすごく嬉しかったです。
現在は、日本の専門学校で留学生向けに日本語を教える仕事をしています。生徒は、ベトナム人、ネパール人、スリランカ人、バングラデシュ人、フィリピン人などさまざまな国の方がいます。日本にいながらさまざまな価値観や文化に触れられることは、とても新鮮で楽しいです。

気負わず小さな一歩から踏み出してみてほしい

私が55歳のときに英語学習を始めたのは、自分の年齢を考えたときに「今、シニア海外ボランティアに挑戦しなければ、もう海外に行くことはできないかもしれない」と思ったからです。そうした危機感を感じてやっと、昔から少しずつ募っていた海外や異文化への憧れが爆発したのかもしれません(笑)。もし、英語を勉強してみようかなと思っている同年代の方がいたら、「英語の勉強をするぞ!」といきなり意気込むのではなく、まずは少しだけ試してみることをお勧めします。すると、そこから世界が広がったり、価値観の転換が起きたりする可能性があるかもしれません。
私にとってもJICAのシニア海外ボランティアは大きな挑戦でしたが、そこへ向かうまでは小さな一歩一歩の積み重ねでした。だから、興味があるものにまずは小さくチャレンジしてみてはどうですか?と伝えたいですね。

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