2018.01.11

”時間とお金とやる気を無駄にしないこと”が、英語上達への近道

自分が本当に伝えたいことは何かをきちんと理解する

松本秀幸さん (英語学習コーチ)
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松本秀幸さんは、TOEICで満点を獲得した実力を活かして英語学習のコーチングを行っています。学生時代から英語が好きで、社会人になってからも英語を含めた数カ国後の語学学習に取り組んだ松本さんですが、その学習法は「最小限の学習で成果を出す」という非常に効率的なもの。こうした学習法を身に付けた転機となる経験や、誰もが挫折せずに英語学習の一歩目を踏み出せる方法などについて、お話を伺いました。

「英語ができるといいことがある」そのイメージが学習意欲に繋がった

英語学習に取り組み始めたのは、工業高専生のときでした。当時、工業高専に通っていた学生の中には、英語が嫌いだから高専に進んだという人も多く、英語の授業のレベルもそれほど高くはありませんでした。そういった環境でも英語学習を頑張れたのは、まず単純に楽しかったから。英語を嫌いな友人に理由を聞くと、その多くは「中学で初めて英語を教えてもらった先生との相性が良くなかった」というものでした。私は先生との出会いにも恵まれて、中学の時から英語が好きだったので、そのまま好きを継続できたのだと思います。また、受験のための英語学習をする必要がなかったため、興味のある勉強だけに注力できたこともよかったです。とはいえ、当時は英語の学習教材が少なかったので、地元・山口県岩国の米軍基地から聞こえる放送を聞いたり、ESSに入って近所の大学生と話したり、英語を少しでも話す機会があるなら教会の礼拝に参加したりもしながら、英語に触れていました。そして、英語学習に意欲的に取り組めたもうひとつの理由は、「英語ができると得する」というイメージが私の中にできていたからだと思います。工業高専において珍しく英語が得意だった私は、スピーチ大会への出場や1週間アメリカに行かせてもらう経験を積ませてもらいました。それらが楽しかったので、「英語ができるといいことがあるぞ」というイメージ付けができたのだと思います。

青年海外協力隊の経験で語学を効率的にマスターする方法を習得

工業高専を卒業後は、英語を使う機会が多そうだし海外へ行ける機会もあるかもしれないと思い、日本航空株式会社(JAL)へ技術職で入社しました。飛行機の部品のマニュアルは英語で書かれているものがほとんどであるため、英語を活かせる機会もありました。しかし、私が担当していたブラックボックスの整備士には海外へ行くきっかけはなかなかありませんでした。入社前の想像と違って少し悶々としていたときに、会社の同期が20代前半で亡くなってしまいます。こんな若さで人生を終えることもあるのだと思うととてもショックで、同時に「若いうちにやりたいことをやっておかないと」という気持ちが生まれました。そして、工業高専生のときにOBの方の話を聞いたこともあって思い出した、青年海外協力隊への参加を決めます。
青年海外協力隊で同僚とお茶を飲む松本さん(右)

この経験が、今の私の英語学習の考え方の根幹を作ってくれました。というのも、青年海外協力隊の活動でフランス語とアラビア語を習得する必要があったからです。2つの新しい言語を同時に習得するのは非常に難しいので、まずはそれぞれどこまでのレベルに達する必要があるのか、ゴール地点を決めました。フランス語は「仕事をする上で困らないレベル」までの習得が必要で、アラビア語は「現地で挨拶や簡単な会話ができるレベル」でいいことがわかったので、そのレベルに到達するための勉強に絞りました。特に、アラビア語を話せるようになる目的は、挨拶をして現地の人と仲良くなること、有事の際に自分の身分を証明できて安全を守れること、そして市場でねぎることだったので、そういった場面で使う単語100個だけを覚えようと決めて取り組みました。
このスタンスは、青年海外協力隊から帰国後、JALの仕事で中国出張があったときも同じでした。そのときは、中国語を聞いて理解する必要はあるけれど中国語で話す場面はほとんどなかったので、リスニングに絞って勉強しました。とはいえ、当時若手だった私は料理の注文やタクシーの手配などをする必要があったので、そのときに使う中国語だけはマスターしました。このように、それぞれの言語ごとに、自分に求められるゴールや必要な結果は変わってきます。ゴールから逆算して語学を習得する学習法をこの経験で身に付けました。

日常会話上達の秘訣は自分の日常と絡めて学ぶこと

青年海外協力隊で発展途上国へ行った経験から、「学ぶ機会の無い子どもたちが親になったとき、彼らの子どももまた学ぶ機会の無い子どもになる」という「貧困のサイクル」があると気付きました。こうした連鎖を止めるために、自分も学ぶ機会を作る側に回りたいと思い、会社員をしながら自分の持っている知識やスキルを活かせる英語学習のコーチング等の活動を始めました。幸いJALは兼業という仕組みがあり、周りに本を出版している先輩方などもいたのです。その後、英語学習コーチとして独立し、今に至ります。

私は「時間とお金とやる気の無駄遣い」がとても嫌いです。それを無くすことも、コーチングをしている目的のひとつです。よく「英語で日常会話ができるようになりたい」と言う人がいますよね。そう話す方の多くは、英語学習になるといきなり難しいテキストを開いたり、英字新聞を読んだりすることから始めようとします。けれど、実際は日頃やっていることや好きなことが英語でできるようになりたいだけだったりするのです。だから、好きなことについて英語で話せるようになったり、英語で日記をつけたりするところから英語学習を始める方が絶対に上達も早いんですよね。例えばカメラが好きなら、外国のカメラマンの情報収集や、レアジョブ英会話でカメラ好きな先生のレッスンを選ぶことから始めることもできます。好きなことだったら、無理せず勉強できるし、上達の実感が持てて自信も付くのです。
私は、人一倍英語学習をしてきた自信はあるけれど、英語への執着はありません。だから、「みんな英語を勉強すべき」だとか「この英語学習法が一番いい」などと言うつもりはなくて、何らかの目的のために英語を上達したいと思っている人に対して、「どの道ならこの人が最短距離で頂上へ辿り着けるだろうか」と考えて、一番いい道を提案することが好きなのです。

iPhoneさえあればいつでもどこでも英語学習ができる時代

効率的に英語学習を行う上で、多くの方に提案できると思っているのがスマホでの英語学習法です。スマホを使うようになってから「これは語学学習に最適なツールだ!」と実感しています。英単語・リスニング・リーディングなどいろんな分野の学習ができるアプリを無料もしくは安価でダウンロードすることができて、学習記録も付けることができます。しかも簡単に持ち運ぶことができる。それに、メニュー画面をすべて英語関係のアプリで埋め尽くすこともできます。これはもう、英語学習をしない言い訳ができなくなるなと思いました。
2017年9月に出版した「スマホ3分英語学習法」という本は、英語学習におすすめのアプリを厳選して紹介しています。いきなり話すよりもハードルを下げてチャットができる「Chatty」は当然ですが、そのチャットで言いたかったフレーズを後で調べて復習するために英会話フレーズアプリの「Real英会話」を使うと言った感じで学習者の学習ステップに沿って使えるように作りました。

英語学習のスタートは何でもいいんです。まずは自分の英語学習のゴール地点を決めて、そのために必要な学習を好きなことや興味のあるトピック、慣れたツールを使って始めてみてください。

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