2017.12.11

目的は「全社のグローバル意識を向上させること」

多部署から応募が集まる英語学習プログラム

株式会社サカタのタネさん (種苗会社)
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1913年に創業された株式会社サカタのタネは、世界各地で野菜や花の品種を開発し、またその種子を海外19カ国で生産し、世界170カ国以上に供給しています。そうしたグローバル展開を行っているため、全社員が今後業務の中で海外と仕事をしたり、海外出張に行ったりする可能性があります。そこで、全社のグローバル意識を向上させようと、2015年に語学学習プログラムを改編。全社のグローバル化に向けた取り組みの内容や狙いについて、人事の語学研修担当のイヴァさん、広報担当の藤田さんにお話をお聞きしました。

売上の半数以上が海外のため全社のグローバル意識向上が必須

株式会社サカタのタネは、1913年の創業以来「タネ屋」として、開発した花・野菜品種の種子を世界中の採種地で生産し、徹底した品質管理体制のもと、主な取引先である種苗店を通じて生産者へ提供してきました。研究開発を行うには各地域の食文化や気候などを考慮する必要があり、またその 種子生産は適地適作が重要で、もともと日本発祥ではない花や野菜の種子を取るためには、生まれた環境(海外)と同じところで採種した方が良いものができるのです。同社は販売する種子の90%以上を海外で生産しています。一方で、中国やインドなどを中心に種子の需要も増えており、現在当社の海外での売上は全体売上の50%以上を占めています。

こうした背景から、当社では研究者が海外出張に行く機会があったり、バックオフィス部門が海外子会社とやり取りする機会も多くあったりと、海外部門に所属している社員以外にも海外との接点が多く生まれます。異動があることを考えると、社員の誰もが今後海外と連携して、あるいは海外で仕事をする可能性があるからこそ、全社のグローバル意識を向上させる必要性がありました。

多くの社員が自分のスタイルに合うものを選べる語学学習プログラムに改編

順調な海外事業に遅れをとらず全社のグローバル意識を向上させるために、2015年に社員に対して「サカタの語学教育が変わります」といったメッセージを打ち出し、語学教育プログラムの見直しを決めました。
これまで、語学教育をサポートするプログラムは「語学学校補助」、「通信教育」程度でした。「語学学校補助」は英会話学校に通う人に対して金銭面で補助を行う制度ですが、利用者は少数でした。より多くの社員のニーズに応えて語学学習の機会を与えるために会社として何ができるだろうかと考えた結果、社員が自分のスタイルに合わせて学習方法を選べるように、いくつかの選択肢を用意しようと決めました。そして、従来のプログラムの他に、社内英会話レッスン・オンライン英会話(レアジョブ英会話)・CASEC(キャセック)を導入しました。


英語研修プログラムの社内ポスター

社内英会話レッスンに関しては、外国人講師を雇用して実施することになりました。ただし、講師ひとりでは全員にレッスンを提供するのは難しく、レッスンの時間帯も限られているので参加が難しい方がいます。また、英会話レッスンだとどうしても複数人での受講になってしまいます。そのため、ひとりで受講したい方や時間や場所の制約を受けずに受講したい方は、個別レッスンを選べるように2種類の英会話学習を用意したのです。

地方拠点とはテレビ会議で繋いで社内英会話レッスンを実施

社内英会話レッスンは、地方の事業所ともテレビ会議で繋いで、本社勤務以外の方でも参加できるようにしています。テレビ会議システムでの中継なので、もちろんタイムラグが発生することもあるのですが、普段の業務で海外拠点とテレビ会議をする社員も多く、「リアルでいい練習になっている」と好評です。レッスンは、ビジネス英語の教材を用いて実施しています。できるだけ実用的な英語を学べる場にしたいと思っているので、海外でのプレゼンを控えた社員にはプレゼンの練習をできる場にしたり、提出してもらう課題は日常業務に関連するトピックを選んだりするなど、受講者の要望を聞きながら柔軟に対応しています。社内英会話レッスンやレアジョブと同様にCASECを導入したのは、自らの英語の実力を定期的に測れる指標があった方が受講者にとってモチベーションになること、そしてこうした語学教育を受けた社員の英語力が、受ける前と比べてどのように変化したのかを測ることは必須であるためです。CASECは、TOEICに比べて簡単かつ短時間で、しかもどこからでも受験できるので、「手軽で便利だ」と社員からも好評ですよ。

部署内のメンバーの会話に感化されてプログラム受講を決める社員も

「サカタの語学教育が変わります」と書かれたチラシが突然掲示されたことで、当時は驚いた社員も多かったかもしれません。しかし、こういったチャンスを待っていた社員はたくさんいたようで、初回から多くの応募がありました。各プログラムの受講者は、こちらから受講を依頼したり、厳しい受講条件を付けたりといったことはせず、立候補制にしました。そもそも、今回語学教育プログラムを変えた目的は、全社のグローバル意識を向上させるため。だからこそ、直近の業務で英語が必要な社員だけでなく、以前から英語学習に興味があった社員や今後海外で仕事をしたいと思っている社員にも受講してもらいたかったのです。

受講者は各部署から集まっていますが、部内のほとんど全員が何かしらの語学学習プログラムを受講しているという部署もあります。どうやら、だんだん部署内での会話が「昨日のレアジョブ英会話でこんなトピックを話した」「今日のレッスンの課題はこれだ」といったものが多くなり、感化された他のメンバーも次々と受けるようになったようです。そういった意味では、旗振り役のような方がいる部署の受講率は高いかもしれません。

今後はプログラムの提供だけでなく語学力向上のサポートにも注力

こうした語学教育プログラムの導入は初めてだったので、アンケートを定期的に実施して、受講者に困りごとやよかった点などについて意見を聞いています。レアジョブ英会話を受講している社員からは、「どのように講師を選べばいいか?」といった質問などもありました。

社内英会話に関しては、業務が多忙で参加できなくなる方も出てきていたので、レッスンの時間を変えてみたりしながらできるだけ対応してきました。嬉しいことに、モチベーションの低下や英語力の伸び悩みを理由に辞める人はいないですね。ただ、レアジョブ英会話の受講者の中には、直接複数人と対話できないこともあってか、「本当に自分はスピーキング力が付いているのだろうか?」と悩んでいる社員もいるようです。今後はスピーキングテストに対するフィードバックも導入して、社員が成長を実感できるしくみを作っていきたいです。

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