2017.11.6

「動画+インバウンド」でオープンな日本に

海外のみなさんに、もっと日本を知ってほしい!

住吉良介さん (ボンド株式会社 代表)
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訪日観光客(インバウンド)向けのビジネスがますます盛り上がるなか、ボンド株式会社は動画に特化したメディアを立ち上げ、日本をPRするサービスを展開しています。日本語レッスンや日本文化についてのオリジナル動画は、毎回数百のコメントがつくなど、人気急上昇中。ボンドを起業した住吉良介さんに、インバウンド事業の展望や、ビジネスにおける英語の重要性などについて聞きました。

2016年に起業したばかりですが、すでに400以上の動画をFacebookなどのSNSにアップしています。動画の種類は大きく2通りあり、1つは日本語を学べるレッスン動画、もう1つは日本、特に東京の観光地やお店を紹介するものです。言語は英語のほか、韓国語、繁体字バージョンもあります。

昔から旅行を含め海外に行く機会がよくあり、そのなかで多くの「日本好き」な外国の方々に出会いました。私は大学卒業後、6年ほどエンジニアを務めた後、ケータイのゲーム制作や着メロ制作などに携わってきました。自分の技術と経験を生かし、ネットを使って、そういう海外の人たちに日本をPRしたいと思ったのが、起業のきっかけです。動画に特化したのは、インバウンド事業としては後発なので、何か特色を持たなければと思ったからです。ネットのトレンドを調べてみると、既存のメディアはテキストと数枚の写真で構成されていることがほとんど。そこで、動画を使おうと考えたわけです。

動画は少なくとも毎日1本、投稿しています。コメントをたくさんいただくのが嬉しいですね。動画を作るときの工夫としては、見ている人に問いかけるような構成を心がけています。メディアとユーザーがコミュニケーションできる動画が理想です。出演しているナビゲーターにファンがつくのではなく、動画コンテンツ自体のファンを増やすという意識で制作しています。動画も奥が深くて面白いです。編集の方法やどんなカメラがいいかのなど、研究の日々です。

英語を勉強してきたおかげで今がある

海外との初めての出会いは、高校1年生のとき。入学した高校の制度を利用して、2カ月間、イギリスに留学しました。1カ月はホームステイ、もう1カ月は寮に住み、高校が提携する英語学校に通いました。この留学は母から薦められたもので、自分の意志で行ったわけではなかったのですが、いい刺激をたくさん受けました。天気から町の雰囲気まで何もかも日本と違いますからね。この経験のおかげで英語が好きになりました。大学は理工学部で学び、卒業後はエンジニアになりましたが、英語好きは変わらず、勉強はずっと続けています。25歳のころに会社をやめて、オーストラリアに1年間留学したこともあります。最近ではレアジョブ英会話のレッスンも受けていました。

英語を勉強し続けているおかげで、こういうビジネスができていると思います。いまアプリの開発をベトナムの会社に発注しています。ベトナムの人々は海外とのビジネスに慣れていて、共通語は英語。私は英語でビジネスをすることに障壁がないので、海外との仕事に苦はありません。しかし、未だにそうではない日本人は多いようで、「ベトナムと仕事? 大丈夫なの?」という反応があることも。日本国内だけでビジネスを行うより、こうしてアジア諸国はじめ海外と仕事をしたほうが、コスト面などでのメリットも大きい。言語の壁が理由で、チャンスを失っているケースは多いんじゃないかと思います。もったいないですよね。

こうしてグローバル化が進むと、非ネイティブが英語を話すようになります。私の実感として、グローバルビジネスの8割は非ネイティブの英語でやりとりされています。この場合、ネイティブのような流ちょうさは必要とされず、伝わることが重要です。

それでも海外とのビジネスに躊躇する日本人が多いのは、英語力の問題というより、国の体制の問題が大きいかもしれません。外国人を受け入れるという点に関して、日本ほどビザが取りにくい国はほかにないと思いますし、まだまだ「鎖国的」だと感じます。外国人の受け入れ態勢が緩和されれば、学校のクラスメイトや会社の同僚に外国人がいるのがもっと普通になっていくのではないでしょうか。当社の事業は、日本をアピールして、「日本に遊びに来てください」と外国の方々を誘致するもの。その点で、もっと開かれた日本にするために貢献できるのではと考えています。

日本のローカルの魅力を世界へ

今後は自社のコンテンツ作成のほか、地方自治体と協力し、地域の観光資源や文化をアピールするお手伝いもしたいと考えています。最近では、たくさんの企業や団体からなる「地方創生・観光プロモーションコンソーシアム」のメンバーとして、広島や千葉などの自治体の方々と会いました。いかに、その地域の魅力を多くの人に広めることができるか。今のトレンドや効果を考え、webサイトを作って終わりではなく、いまならSNSなど、最新のネットツールを使う方法の提案をしています。Webサイトを作っただけだったり、動画をあげても訪れる人は50人、100人だったりという、寂しいものも見かけますので、そこは私たちのノウハウを使っていただければと考えています。

会社としては、「動画+インバウンド」事業でナンバーワンになることが目標です。私はよくも悪くも思い立ったらすぐに行動に移すタイプ。それをポジティブにとらえて、いろいろなことにチャレンジしていきたいですね。

住吉良介様 プロフィール
1979年11月生まれ
青山学院大学理工学部卒業。大手SIerに入社しWebエンジニアとしてキャリアをスタート。2010年株式会社ポケラボにて事業部長として新規事業の立ち上げに貢献。シンガポールに渡り、帰国後当社創業。

ボンド株式会社
「bond JAPAN」(https://www.facebook.com/bondjapanese/)は2017年3月に正式リリースした動画メディアです。主に、日本語教育と日本文化紹介の動画を英語を用いてSNS上(Facebook,Instagram, Youtube)で配信中。特徴としては高いエンゲージにより熱量の高いユーザーが集まるメディアです。また、ライブ配信アプリを用いて、リアルタイムに日本を発信していきます。

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