2017.09.21

「英語を話すために必要なこと」をブレイクダウンして考える

毎日の小さな積上げで、わずか2年でTOEIC500点アップ

佐伯尚則さん (ピクスタ株式会社 エンジニア)
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ピクスタ株式会社のエンジニアである佐伯さんは、現在リモートワークをしながらカナダへ留学しています。社会人3年目で初級レベルから始めた英語学習も、約2年でTOEICの点数は500点近くアップ、会話も自分の伝えたいことはおおよそ伝えられるレベルになり、更なるステップアップを目指し、留学を決意。「英語が話せるようになるため」に何をすべきか、学習計画を非常に論理的に設計され、実行されている佐伯さん。何を意識することで、初級レベルからスタートして、わずか2年間でそこまでレベルアップが出来たのか、英語学習への取り組み方の工夫についてお話をお聞きしました。

海外出張はなんとかなった、でも「なんとかなった」だけなのが悔しかった

カナダの語学学校の友達と

私は現在、ピクスタ株式会社でエンジニアとして働きながら、2017年7月からカナダへ留学しています。留学の目的のひとつは、さらなる英語力向上を目指し、「生の英語」に触れることです。とはいえ、英語が元々好きだった訳でもなく、学生時代も数学などに比べて、終わりが見えない英語は、一番苦手な科目でした。詰め込みも利かないですし。社会人になってもそれはあまり変わることはありませんでした。新卒で入社した会社で受けたTOEICは400点台でした。新しい技術の情報を得るためにも英語で文書を読む必要があるので、「いつかやらなきゃな」という思いは心のどこかにありました。

転機となったのは、ベトナム出張です。ピクスタでは、システム開発の一部をベトナムで行っているため、2週間程度ベトナムへ出張する機会がありました。といっても、英語が話せなくて困った訳ではありませんでした(笑)。当時の自分の英語力でもなんとかコミュニケーションは取ることができ、少し複雑なやり取りも電子辞書が手元にあれば特段困ることはなかったのです。ですが、単に「なんとかなった」だけであり、「英語を使いこなせたわけではない」ことが悔しく、英語を勉強したいという思いは強くなりました。

ベトナム出張で仲良くなったベトナム人のエンジニアと

そんな私にきっかけを与えてくれたのは、出張中に話す機会のあった現ベトナム子会社社長でした。「英語を勉強したいと思っているんですよね」と私が何気なく話すと、「いつかじゃなくて今から始めなよ」と子会社社長に言われたのです。これまでも、必要性は感じていたものの、色々と言い訳をしながら本格的に英語を勉強するまでには至っていませんでした。けれど、子会社社長がくれたシンプルな言葉にハッとさせられ、「帰国したら始めます」と宣言してしまったのです。それが始まりでした。

一、自分のレベルを理解して必要な分野の学習に取り組む

会社の福利厚生に、月に12回以上レアジョブ英会話のレッスンを受ければ、費用を負担してくれるというものがあります。それを利用すべく、帰国してすぐにレアジョブ英会話のアカウントを作成しました。その2015年7月からレアジョブ英会話のレッスンを開始し、英語学習が本格的にスタートしました。

私が学習を進めるうえで意識したことは、大きく三つありました。一つ目が、自分のレベルをきちんと理解して、そのうえで今自分に必要な分野の勉強を効率的にすることです。

「英語を話せるようになるために何が必要か」をブレイクダウンして、計画を立てていくことが重要です。正直、あまりに低いレベルから始めないといけない場合もあるので面倒くさいかもしれませんが、そこを躊躇せずに積み上げる必要があると思います。

私の場合、まずレアジョブ英会話のレッスンをやってみてレベルを実感し、『英語上達完全マップ』を参考に、何からやっていくべきか考えました。最初に文法をしっかり理解する必要があると感じたので、『1億人の英文法』という文法書を一通り読みました。次は最低限の語彙力を身につける必要があると感じ、『DUO』に取り組みました。また、発音記号と発音の理解も早い段階ですべきだと感じ『英語耳』も購入しました。買った1冊を勉強し終えるとまた書店に行き、そのとき学習が必要な分野の中で取り組みやすそうなテキストを選ぶことを、レッスンを並行しながら繰り返し、結果2年間で20冊以上の英語学習の参考書に取り組みました。

また、英語学習の中でも大事にしていたのは音読です。英語の学習法について情報を発信しているほとんどのWebサイトで「音読は大事」と書かれていたので、とりあえず従ってみようと思って取り組みました。文法書の例文も単語帳の例文も音読し、加えてリスニング用音源でのシャドーイングも行いました。

二、目標は短期・中期・長期と三段階に分け、継続しやすくする

二つ目に意識したことは、英語学習を継続しやすくするために、目標を三段階に分けて設定することです。長期目標は「今はまだ先が見えないほど高い理想像」、中期目標は「努力したら達成できそうなもの」、そして短期目標は「無理しなくてもクリアできるもの」といった尺度でそれぞれ設定します。私の場合は、長期目標が「ネイティブスピーカーに囲まれた環境で苦労なくコミュニケーションがとれる/日本人ということを考慮されずに海外で仕事を見つけることができる」、中期目標「TOEIC900点」、短期目標は「毎日レアジョブ英会話のレッスンを受ける」と設定していました。短期の目標はとにかく、“すごく簡単なもの”にすることが重要です。英語はとにかく続けることが大切ですが、短期の目標をハードルが高いものにしてしまうと、それが難しくなります。1日少しでもいいから、自分が出来そうなことを目標に立てることをお勧めします。積上げが重要です。

三、英語に触れるハードルを出来る限り下げ、毎日取り組みやすくする

三つ目は、英語学習に取り組むまでのハードルを出来る限り下げることです。毎日英語に触れて継続させるために、“精神的”にも“物理的”にも、学習を始めるまでの障害はとにかくつぶしていくことを意識しました。

結果的に多くの参考書に取り組みましたが、その時取り組むテキストは1冊から2冊に絞ることを徹底しました。英語学習を始めた頃は、意欲に満ちている分「たくさんテキストを買い込んで一気にやるぞ!」と思いがちですが、何冊も手元に置いてしまうと、どれをやろうか悩み、結局やらなくなってしまいます。

また、「1日何ページ勉強するぞ」ではなく「とりあえず毎日テキストを開いてみよう」と思うことにして、とにかくハードルを低くすることを徹底しました。

物理的な工夫もしました。学生時代、英語をやらなかった大きな理由に、「音読するのが面倒くさい、リスニングをするのが面倒くさい」というものがありました。音読はやる場所を選びますし、リスニングもCDを入れて、音楽プレイヤーを準備して……とにかく面倒くさい。なので、そのようなハードルも下げるために、手軽に取り組める環境を作るようにしました。たとえば、Dropboxにリスニング音源を取り込んで、どの端末からでも手軽にアクセスできるようにし、通勤中でも就寝前でも気軽に始めれるように準備しておきました。また、参考書を買う時も、いくらベストセラーでも、自分で進めるイメージができて、「やってみたいな」と思えるものしか買わないようにするなど、教材の選び方も意識しました。

「毎日英語にふれる」ようにする手段として、レアジョブ英会話は非常に有効でした。レッスンが始まるSkypeのコール音を目覚まし代わりに、毎日朝起きてすぐ受けて、生活のリズムにうまく組み込みました。レアジョブ英会話は2年間で週5~7回のペースで、合計500回以上レッスンを受けることができました。

「英語ができない」ことで自分の未来の可能性を閉じたくない

こうして英語学習を継続できているのは、「英語ができないことを理由に何かを諦めたくない」というモチベーションがあるからです。私の場合は、「英語を不自由なく話せるようになって海外で生活をしてみたい」という思いが以前からありました。ベトナム出張をきっかけに、この思いを取り戻すことができました。
2年間英語を勉強してきて、自分が伝えたいことをおおよそ英語で伝えられるようにはなりましたし、中期目標の「TOEIC900点」も達成することができました。

けれど、リスニングはレアジョブ英会話のレッスンで先生が丁寧に話してくれる内容やTOEICのリスニング音源など、“きれいな英語”の聞き取りしかできません。英語学習で耳にする英語ではなく、日常的に話される生の英語に触れないと、この先長期の目標は達成できないと思い、留学を決意しました。カナダでは生の英語に触れつつ、IELTSやケンブリッジ英語検定にも取り組み、いつか海外を自由に飛び回れるようになるための準備をしていきたいと思います。

佐伯さんの英語学習を始めて軌道に乗るまでの道のりについては、ご本人のブログ記事『TOEIC440点の社会人が8ヶ月間で850点を取得した勉強法』で詳しくご紹介されています。

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