2017.06.6

20年間100%やり切った教材はゼロでも英検1級取得

「完璧を目指さない」「壁にぶつかったら学習法を変える」ことが英語学習の秘訣

佐々木正治さん (外資系製薬企業 開発)
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外資系製薬企業にお勤めの佐々木さんは、20年以上英語学習を継続されています。さまざまな学習法を試されてきた佐々木さんですが、驚くことに挫折英語学習で挫折を感じたことはないそうです。無理なく継続できている秘訣として、「三日坊主でもいい、中途半端でもいいと考えること」と話される佐々木さんに、完璧にこだわらない学習法についてお伺いしました。

もはや「英語を話せたら優秀」という時代ではない

新卒時代からずっと、製薬会社で勤務しています。医薬品業界では以前から、最先端の情報を得るには英語の文献を読まなければいけませんでした。でも、リーディングさえできればなんとかなったのです。現在は、内外問わず製薬企業でもグローバル化が定着し、「英語を話せたら武器になる」という時代から、「英語を話せないと生き残れない」という時代に変わりました。私自身も、今は外資系の企業に勤めていることもあり、アメリカやドイツにある研究所のメンバーとのやり取りや、海外で開かれる学会への参加などで、英語を使う機会が多くあります。

英語の勉強に追われるのは嫌だから今しっかり学ぼうと学習をスタート

英語学習を始めたのは、社会人になって間もない頃です。英語を話せるようになりたいという思いは学生の頃からあったものの、なかなか取り組めずにいた私が始めるきっかけとなったのは、TOEICの受験でした。最初は会社で受験したのですが、いざ今まで分からなかった自分の英語力が数値化され、課題が浮き彫りになると、「スコアを上げたい」という思いが生まれました。しかし、いつまでたってもその場しのぎでTOEICを受けていたら、毎回試験前に大慌てで詰め込み勉強をしなければいけません。ですが、一度ある程度のレベルに到達してしまえば、慌てて勉強しなくても、ある程度の高得点は取れるようになるはずし、「英語の勉強をしないと」という気がかりを感じる必要もなくなります。少しでも早く頭の中からそんな気がかりをなくしたい。そんな思いから英語の勉強を始めました。

自分が「使える英語」であるほど、理解もしやすいと気づく

英語学習で使用したデバイスの歴史

最初の頃はTOEICの目標スコア達成をとにかく目指し、リーディング・リスニングに特化した勉強をしました。アルクのマラソンシリーズにはとてもお世話になり、TOEICテストの600点マラソンから始まり、860点マラソンまで、他にもヒアリングマラソン、リピーティングマラソンなど、様々なシリーズを使いました。

リスニング力向上に一番有効だったのがNHKの「実践ビジネス英語」で、私にとって実際に仕事で「使える英語」を学べる教材でした。当時電話会議で英語をたまに使う場面があったのですが、教材の中で出てくる言い回しが、仕事での必要性を感じるものばかりだったので、頭に入りやすく、覚えていきやすかったです。結果、約10数年の学習でTOEICでは960点のスコアを取ることができました。

しかし、英語力向上を目指していく中で、英語だけ勉強していてもダメだと感じました。「トーストマスターズクラブ」という、話し方やスピーチを参加者同士が相互に学んでいく団体に以前から参加しているのですが、そこでスピーチの練習をしていると、スピーキング力の課題も感じつつ、日本語を含めて表現力が足りない事に気が付きました。一つの話を順序立てて、どれだけ分かりやすく説明できるか、ロジカルシンキングについて本などで学び、考え方を身につけました。すると英語で話すときも組み立てがしやすくなり、英検1級のライティングの試験や、仕事で論文を書くときに非常に役立てることができました。参加してもう20年ほどになりますが、半年に1度くらいしか足を運べない時期も多々ありました。しかし、今も無理のない範囲で自分が行けるタイミングで通っています。

レアジョブ英会話のレッスンで学んだ内容はそのまま職場で使える

英語学習を続けていく中でTOEICも900点以上を超え、さらに英検1級や通訳案内士の資格を取得するなど英語力が向上していく手応えを感じつつも、一向にスピーキング力は課題のままでした。そこで英会話の個人レッスンを探しましたが、通学型のレッスンはどこも受講料が高額。諦めかけていたところ、見つけたのがオンライン英会話で、レアジョブ英会話を始めました。

レアジョブ英会話は、2010年に始めてからずっと、月に15〜20回のペースで受け続けています。「8割の達成」が目標なので、毎日無理して受講せず、あえてこのペースに設定しています。レッスンは、いつもは「DAILY NEWS ARTICLE」(毎日更新されるレアジョブ英会話のオリジナルニュース記事教材)を用いて行っています。時事や海外情勢についての知識を付けられるため、レッスンで話したことをそのまま、職場の外国人社員との会話に活かせるところがお気に入りです。

最初は自分の専門分野と近い、生物や化学の知識のある先生を選んでいましたが、同じ先生ばかり受けると仲良くなりすぎて緊張感が薄れるのも嫌なので、特にお気に入りの先生などは作っていません。レアジョブ英会話でスピーキング力を付けてからは、英語でプレゼンテーションをすることが苦にならなくなり、会話への自信がつきました。

英語で充分なディスカッションをできるよう新しい学習法にチャレンジ


学会のレセプションでスピーチをした時の様子

今後の目標は、日本語で行うときと同じレベルのディスカッションを、英語でできるようになりたいと思っています。海外の学会に参加したときに、自分が持っている知識を英語でうまく伝え切れず、もどかしくて悔しい思いを経験しているので、リベンジしたいと思っています。
まだまだ自分のスピーキング力は伸びると信じていますが、理想のレベルに到達するためには、オンラインのレッスンだけでなく、違う形式の学習も新しく取り入れていく必要があるとも思っています。最近は短期集中で多角的にビジネス英会話を学ぶプログラムも増えているので、そのようなものへの参加も視野に入れています。

「8割達成でいい」「中途半端でいい」それが長く続ける秘訣

英語学習を続けて20年以上になりますが、これまで挫折したことはありません。実は、英語学習をやらなかった時期もあるので、人によっては挫折と捉えられるのもしれませんが、私は「中途半端にダラダラ続ける」をモットーとしているので、やっていないときも「またやりたくなったら始めよう」としか思っていなかったのです。三日坊主になって、一度辞めたことをまた再開して、もう一度三日坊主になってしまったとしても、繰り返しているうちにそれは継続になると思います。だから、新しいことを始めるときは、気負いすぎず、とりあえず始めてみたらいいと思っています。

また、今までたくさんの教材や学習法を試してきました。全部完璧にやりとげている訳ではありません。ただ自分の中で一貫しているのは、「壁にぶち当たったらやり方を変えてみる」ということ。同じやり方で100%の努力を積み上げていくというよりは、色々な手段を試しながら、どんどん壁にぶつかっていくことが大事。
レッスンを受ける回数でも何でもそうですが、常に完璧を目指さず、「高めの目標を設定して、8割達成を目指す」という考え方のもと物事に取り組んでいるのが、長続きの秘訣かもしれません。

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