450年以上も前から、ヨーロッパ諸国と様々な交流を始めていた長崎。そんな異国情緒が漂う長崎に佇む長崎純心大学では、2012年から英語情報学科の前期(5月~7月)の授業にオンライン英会話を導入しています。英語情報学科の1年生全員が受講できるというユニークな試みを始めた長崎純心大学英語情報学科長の畠山教授に、大学におけるオンライン英会話の活用についてお伺いしました。
英語でのコミュニケーションを実践する機会を学生に与えたい
4年前に「PRESIDENT(プレジデント)」という雑誌でオンライン英会話について紹介されている記事を見かけたのがきっかけでオンライン英会話を導入しました。
本大学の学生は教室外で英語でコミュニケーションする機会がほとんどなく、せっかく英会話を学んでも実践する場がないのが、かねてからの課題でした。
留学生を増やすわけにもいきませんし、なんとか英語を使うチャンスを学生たちに与えられないかと以前から模索していたのです。
そもそもの課題として、英語を話すことに、恐怖感や恥ずかしさを抱いている学生が多いことは気になっていました。だから、英語を話すことが楽しいとか、話せるようになった達成感を味わってほしいと思っていました。とにかく学生たちの「やる気スイッチ」をオンにする何かをしたいとずっと考えていたのです。
鉄は熱いうちに打て。やる気スイッチを入れる
実は2年生からの留学前プログラムでも活用しているんです。
しかし、メインは1年生です。入学してきたばかりの学生の中にはなかなか大学のカリキュラムについていけずドロップアウトしてしまうケースが見られます。これは本学だけに限らず、全国の大学生に共通する問題です。「鉄は熱いうちに打て」ではありませんが、1年生の間に何か楽しいと思えることやチャンスを与えることが大事だと思います。
最初の年は夏休み中も実施していましたが、どうしても夏休みになると学生のモチベーションはさがってきます。オンライン英会話も例外ではなく、入学して最初の3カ月は受講率も高いのですが、夏休み以降はどうしても下がります。そこで夏休み中は学生の任意に任せ、10月から希望者だけを募り、2週間に1回レッスンレポート提出などの課題を与え、継続できるようにしました。「しっかり最後までやり遂げます」という決意表明と「なぜ継続したいのか」という理由も書かせます。原則毎日やることを課題にして、励ましながらやらせています。
「学び方」を伝えるのが教育者の使命
実際、オンラインレッスン自体は各自でやりますので、英語の授業の中で何か特別な事をするわけではありませんが、昨日はどんなレッスンをしたのかを尋ね、発表させています。学習意欲自体を計測することは難しいのですが、ケンブリッジ英検などの外部テストの結果を見ると、オンライン英会話の受講率が良い学生ほど成績が良いのですが、これが原因かどうかはまだ分かっていません。でも大学として、オンライン英会話と学生の英語力との関係は確認しないといけないと思っています。
「英語の力をつけること」ももちろん重要ですが、一番大切なのは、「やる気やモチベーションを高めていくこと」です。そして、学生には英語で話すことがこんなに楽しいものなんだという事を知ってもらいたいと強く思います。つまり英語でのコミュニケーション「体験」です。また、将来就職して英語を使わなくてはいけない場面に遭遇したとき、学生のときにレアジョブ英会話でこんなことをしたなと覚えていて、自分で学習できればいいのではないかと。
私たち教員の仕事の半分は「学び方」を教える事だと思っています。
何かを学ぶ事は大学の4年間で終わるものではありません。その後どう学びを突き詰め、どう広げていくのか。その基礎作りのようなものが大学教育の目的の一つだと思っています。先にいって英語が必要になったとき、どういう方法で学べるのか、そのノウハウさえ自分の中にあれば、いくつになっても役立つはずです。
大学は「自立した学習者」を育てるところ
体験がなければ、発想も出てきませんからね。いわば、大学は「自立した学習者」を育てるところ。そのためにも成功体験は不可欠ですし、そうでないと学びは続かないですから。英語でのコミュニケーションは楽しいことだし、毎日やれば上達する、それを体験してほしいのです。その体験の質は数値では測れないことです。
本大学ではケンブリッジ英検を導入しているのですが、その中でインタビューのテストがあるんですね。そこで5月ではほとんど話せなかった学生が11月になったらスムーズに話せたと報告してくれる学生がいます。多くの学生がそんな体験ができるといいですね。
継続は力なり。とにかく続けること。
学生には、とにかく続けなさい、それだけは伝えています。継続は力なりと言いますが、毎日25分だけでも3カ月毎日やれば3カ月前と違う自分になれるはずです。
レッスン開始3カ月後のアンケートの質問の中に「オンライン英会話は英語学習の方法として良い方法と思いますか?」という質問がありますが、これに対して「いいと思う」という回答しかありません。つまり、受講率に関係なく、学生は誰もがオンライン英会話学習はいいと思っているんですね。
英語の楽しい体験をすればいい。英語の勉強の方法はいろいろです。
——ありがとうございました。
学生の将来を見据えて、「自立した学習者を育てる」という視点を持って日々授業を行われている畠山教授。大学での成功体験を通して、英語だけでなく多くのことを吸収して、世界に羽ばたく学生の皆様の将来が楽しみですね。
長崎純心大学 英語情報学科
http://www.n-junshin.ac.jp/univ/guide/jinbun/english/