2017.03.15

会計・監査の国際基準を日本に

すべてがいいタイミング。1年間の在外研究員として渡米

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清水涼子さん
関西大学大学院
会計研究科 教授
公認会計士

公認会計士として20年間活躍され、48歳で関西大学大学院の教授として転身された清水さん。会計や監査のグローバルスタンダードへの理解を深めるため、2016年9月から在外研究員に応募し、現在アメリカに滞在されています。10年前の英語学習の失敗を通して、再度英語に挑み、学び続けている清水さんに、これまでの英語学習法やその秘訣についてお話を伺いました。

公認会計士から大学院の在外研究員としてアメリカへ

48歳で今の職業に転職しました。会計事務所での業務が肉体的にハードだったというのもありますが、もっとゆっくり自分の専門分野を研究したいと思いまして。そろそろ後進を育てる必要性も感じていました。

私の大学院は専門職大学院といって、職業会計人を養成するところなんです。専門職大学院は実務的な教育を行うという観点から、実務家教員も必要だという規定があります。私は会計事務所にいたころから研究をしていて、国際会議に出たり、論文も書いていましたから、それを評価してくださった方もいて、教員に転身する機会を得ました。
でも、実務界からいきなり大学院に転職する例はあまりないかもしれませんね。

現在は大学院から在外研究員として、アメリカに滞在して研究を続けています。毎日の生活の中で英語学習の必要性をひしひしと感じているところです。

海外のスタンダートな会計・監査への知的欲求が、英語学習のきっかけに。

会計や監査は決して日本特有のものではなく、世界共通。近年ますます国際基準が重要になっています。特に民間企業については著しく統一化の動きが出ているんです。
私の研究分野は政府関連の領域なのですが、日本政府もやや遅れを取りながらも国際基準に合わせる方向に向かっています。その中で、海外のスタンダードな会計・監査を調べよう、より深い知識を得ようと思ったのが英語を学ぶきっかけでした。

実は10年前にも英語学習をしていた経験があるんです。2003年から2006年まで、とある国際会議へ日本公認会計士協会から日本代表として参加しました。1週間続く会議を年3回程参加するのですが、これは非常に大きなチャンスでした。もともと英語は好きでしたが、会議などで発言する自信がなかったので、国際会議へ参加していた同じ期間に、通学制のマンツーマン語学学校に通っていました。
最初は中級からスタートしたと思いますが、だんだん難しい教材に入っていきますよね。
レッスンでは難しいレベルをこなせることに満足するのですが、実際に国際会議の場となると、英語が通用しませんでした。難しい教材の内容も読んで理解はできるのですが、そこから先、何も話せない。使えないんですよね。目標とするところが難しすぎたのだと、後から気づきました。結局、会議で使えるレベルには至らず、挫折感を味わいまして、会議の場での活躍は志半ばで断念してしまいました。

10年前の英語学習の失敗を活かして「難しいものに手は出さない」

レアジョブ英会話を申し込む前は、語学学校に通った方がいいのか、繰り返しCDを聴くのがいいのかなど、勉強方法に悩んでいました。でも、10年前にうまくいかなかった原因は難しすぎたから。私はつい難しいものに挑戦しがちなので、それをやっていたら、日常会話はうまくならないと思ったんです。なので、今回のアメリカ滞在が決まったとき、1年半くらいかけて日常会話の学び直しをスタートしました。

使ったのは、アルクのヒアリングマラソン中級と、知人が紹介してくれたレアジョブ英会話です。以前購入したヒアリングマラソンはCD6枚セットのもで、通勤の時間に繰り返し聞きました。これもかなり効果があったと思います。レアジョブ英会話を始めるにあたっては、壁などは感じませんでした。値段が手頃でありがたいですし、自分のいいたいことを伝える練習もできるので、良かったと思っています。迷わずすぐに始めました。

難しいものに手は出さない。結果的にそれはよかったと思っています。

英語の専門用語と、日常会話のハードル

国際会議で話されている内容は高度ですし、専門的です。でもそれは、英語で表されているだけで、普段仕事で目にする専門用語なので、話されている内容は理解できるわけです。一対一であれば研究についても遜色なくディスカッションしたり、インタビューしたりできます。

しかし、一番困るのは、会議やインタビューの合間の世間話や日常会話なんですよね。

例えば、今日電気屋さんから電話があったんですが、家の電球が切れて注文していた電球がようやく入荷したんです。でも、その電球が当初の規格から少し変更になっていたらしく、そのことを相手から説明されたのに、スピードについていけませんでした。日常の、普通のペースの会話についていけないんですよ。たぶん現地の方の言っている内容の60%程度しか理解できていないかもしれません。まだまだ鍛錬は必要そうです。
でも、英会話のレッスンを続けていく中で、前は昼休みがいやでいやでたまらなかったのが、だいぶよくなりました。それに、あらかじめ英文を作らなくても、会話ができるようになりました。

レッスンは朝。日本語キーワードノートで繰り返し勉強を。

日本では、毎朝早い時間にレッスンを受けていました。仕事を始める前が多かったです。教員なので授業以外の時間でレッスンを申し込めますから、毎日受けるのは難しくないですね。
他の学習法としては、よく使う英語の言い回しを、日本語のキーワードでひきやすくしたノートを作っています。これは、繰り返し勉強でき、さかのぼって調べやすいので、今の私にはいい方法だと思っています。レッスンで覚えた言いまわしや、インターネットでフレーズを調べて補強しながら毎日ノートを作っています。

ラジオ、新聞、講師からの言葉。小さな成功の積み重ねがモチベーションに

今だと、アメリカの大統領選後のニュースに興味があってラジオを聞いたり、新聞を読んでいて習ったばかりの単語が出てきたりするのでも、ひとつのモチベーションになりますね。自信がないときに英語で話しかけるのは勇気がいりますが、うまく話せたときは嬉しいです。本当にちょっとずつの積み重ねがモチベーションになっています。

「キープアップしてね!」という講師の励ましもありがたいですね。
私にとって勉強になる講師はブックマークしているのですが、レベルに応じて現地の人と同じスピードで話してくれるんです。「あなたはよく理解できるわね」とか「海外にいるから(英語の勉強も)一石二鳥ね」と言ってくれて、勇気づけられることも多いです。

恥ずかしがらずに、大きな声ではっきりゆっくり話すと、理解してもらえることも増えましたが、ネイティブの発音に近づきたいですし、話すだけではなく、リスニングもやらないといけないと思っています。ニュースを聞いていても100%は理解できないので、まだまだ勉強は続きます。

海外の人脈を最大限に生かすことが目標

今年の9月半ばまでが任期なので、また日本に戻って教員を続けます。
実際、1年間帰国なしで海外に行くというのは大変なことです。でも、今回が最後のチャンスだと思い切って応募して、本当によかったと感じています。研究分野について、これからは自信を持って世界に発言できます。
さらに、今回培った海外の人脈を大切にしたいと思っています。研究者同士はもちろん、自分たちの大学院の生徒を送り込むといった、エクスチェンジも盛んにするのが目標です。

——ありがとうございました。

10年前の英語の学習の挫折を乗り越えて、再び海外赴任にチャレンジされた清水さん。独自の勉強法を確立されながら、さらなる向上心をお持ちです。どんな時代でもチャンスがあれば、それをつかんで果敢にチャレンジする姿に共感します。
本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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