2018.03.26

TOEFL最低点のどん底から関西の外国語ボランティアを牽引するようになるまでのキセキ

英語を話す機会が欲しい人、集まれ!

堤 祐治さん (株式会社ジェイノベーションズ)
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留学推進事業やインバウンド事業(外国人観光客集客に対する飲食店などへのコンサルティング)などを手掛ける株式会社ジェイノベーションズの堤さん。2018年1月末に前職を退職して、これまで英語ボランティアとして関わっていたジェイノベーションズへ参画しました。外国語大学に進学したのに英語嫌い、TOEFLの点数が足りず教育実習にも参加できず……かと思いきや、思い立ってワーキングホリデーに挑戦するなどドラマの多い経歴に合わせて、ジェイノベーションズの関西代表として今後の展望についてお話を伺いました。

外国語学部に入学するも、TOEFLは最低点

英語に触れたのは中学の科目が初めてでした。数字の1から10はどうにか言えるけど11以降の言い方はわからなかったり、特にスピーキングなどのアウトプットは、話すときにつかえてしまったり、緊張して何も話せなくなったりすることもあって苦手でした。

中学から水泳に熱中していたので、高校は体育科に進学。入学後は、本当に部活漬けの3年間でした。授業も、体育関係の科目がメイン。入学当初は体育大学に進んで教員になるつもりでしたが、いざ卒業が近づくと、また4年間水泳漬けになるのか…将来体育科のある学校に着任してパワフルでやんちゃな生徒を指導できるのだろうか…などと考えると不安になり、進路に迷い始めました。

そんな矢先、外国人の方に「コリアンどこですか?」と道を尋ねられたのです。初めてのことで「えっ、コリアン?韓国?説明できない!」とパニックになってしまい、「わかりません!」と答えました。後で冷静になって考えると「香里園駅(こうりえんえき)どこですか?」と聞かれていたんです。聞かれた場所から近くの駅なので、冷静になれば分かったはずなのに……苦手意識のせいで逃げ出してしまった自分が恥ずかしくなりました。

これがきっかけで、道を聞かれたときに英語でスムーズに答えられたらかっこいいな、と思い始めました。当時は世の中も「これからは英語が必須!」と盛り上がり始めた頃だったこともあり、英語を勉強したら将来の可能性が広がるような気がしていました。

そこで、思い切って外国語大学への進学を決めました。四年制大学の方は落ちてしまったため、まずは短大に入って3年次の編入を目指すことにしました。しかし、入学後クラス分けのために実施されたTOEFLが、実は最低点だったのです……!そこで初めて自分の英語力の低さを自覚しました。

英語教員を目指すも基準を満たせず教育実習に行けなかった2年間

焦燥感に変わって勉強に励むことができればよかったのですが、ここから英語コンプレックスが始まります。人前で英語を話すことは裸で外を歩くよりも恥ずかしく感じ、学内にたくさんいる留学生との関わりも完全に避けていましたね(笑)。同じように〝外国語大学に入ったのに英語が好きじゃない〟友人と、ゆるくサークル活動をしながらなんとなく日々を過ごしていました。

いよいよ短大の2年間も終わろうという時、当初の予定通り編入試験を受験したら、いつもの仲間の中でなぜか自分だけが合格。いざ3年生になると、四年制大学の学生には、図書館で遅くまで勉強する人、授業中に手を挙げて質問する人、留学生と交流する人が多くいて、今までの環境とのギャップに、改めてすごい危機感を感じました。

そこで一念発起して英語教員を目指すことを決意!子どもが好きだし、英語が苦手な自分だからこそ、生徒に寄り添って教えることができる教員になれるのでは!と思っていました。通っていた外国語大学では、留学や教育実習へ行く基準にTOEFLの点数が設けられていたので、TOEFLを中心に勉強。とにかく基礎力が足りなかったので、単語をノートに書きまくり、TOEFL対策本を繰り返し解くことに集中し、猛勉強しました。

しかし、結果的には教育実習に行くために必要なTOEFL450点の基準を満たせませんでした。諦めきれず5年目も科目等履修生として大学に籍を置き再度挑戦しましたが、また失敗。本当にショックでした。

カナダへ語学留学とワーキングホリデーへ 帰国後にはTOEICが835点に

なんとか環境を変えて英語力を上げなければいけない。そんな思いから、カナダのバンクーバーへワーキングホリデーに行く決意をしました。そこで最初に入った語学学校で出会ったのが、現在株式会社ジェイノベーションズの代表である大森です。

一番後ろでポーズをとる堤さんの右隣りには
株式会社ジェイノベーションズの代表・大森さんの姿が

1カ月目は正直大変でした。ホームステイ先の家族と波長が合わず、さらに語学学校でのオールイングリッシュの授業を理解するのが苦痛でしかありませんでしたね。しかし、2カ月目から英語で夢を見るように!これはすごく大きな変化でした。大体この頃から友人も増えて日々が楽しくなってきた様に感じます。語学学校はレベル1〜8までクラスが分かれていて、先生に認められたらクラスが上がって行く仕組みで、6カ月間でレベル3からレベル7まで上がることができました。

語学学校にはいろんな国の人が来ていますが、みんな英語勉強中の身。だからこそ、お互いゆっくりしゃべるので聞き取りやすく、相手が何を言っているかを推測しやすかったです。こうした環境で英語を学べたのも自分には合っていました。

語学学校を卒業した後は日本人やアジア人が少ない環境で英語力を付けようと、エドモントンへ行きました。有名な日本食レストランで働いたのですが、来店されるお客様はほぼカナダ人の方。勤務初日、お客様をお迎えして「How are you?」と聞いたら、「Excuse me.」と2回も聞き返されてしまいました(笑)。そのときばかりは、語学学校で学んできた半年間はなんだったのかとショックを受けました。同時に、ネイティブ相手に通じる発音にはまだまだ遠いんだな、と感じました。いろいろありましたが、半年間働いた中で、バッサー(片付けなどを行う人)→ホスト(受付)→サーバー(テーブル担当)と一連の役割を経験させてもらいました。

帰国してからは、英語教師になる夢を叶えようとまた行動を開始。当時受けたTOEICは、なんと835点を獲得することができ、リスニングはほぼ満点でした!日本語が通じない環境で働いたり、サーバーの資格を取得するために英語の資料を読み込んだりした経験が活きましたね。

教員を諦め一般企業への就職……回り道をして見つけたコミットしたい活動

ちょうど同じ時期の2014年終わり頃から、ジェイノベーションズが運営する外国語のボランティアJapan Local Buddy(以下JLB)の活動に参加していました。JLBは、“国際交流したい日本人”と“日本のローカルを体験したい訪日客”とをマッチングする、国際交流プラットフォームです。週末を中心に、東京、大阪、京都、奈良など、日本各地で英語をはじめとした外国語のボランティア活動をしています。カナダの語学学校で出会った大森が代表をしていて、関西での活動を運営してほしいと頼まれたのがきっかけでした。

一方、念願叶って行けた教育実習では100点満点の評価をいただくことができました。しかし、教員採用試験の三次試験の前に迷いが出てしまいます。当時は27歳。このまま教員になっていいのだろうか。社会人を経験してから教員になった方が引き出しも増えるのでは…という気持ちが沸き上がりました。悩んだ挙句、試験は辞退して就職することを選ぶことに。就職先のIT企業は、TOEICの点数の高さを買って採用してくれました。在職中には、通常業務以外に、社員を集めた英語の勉強会も開催するなど、やりたいことは出来ていましたが、1年半ほど働いて2018年1月末に退職することを決意しました。

退職理由は、3年間活動を続けていたジェイノベーションズの活動に100%コミットしたいと思ったからです。2018年1月のはじめにあった東京チームとの交流で、今後どのようにボランティア活動の幅を広げていくのか、会社としてどのような方針で事業を進めていくのかなどを話していたら、自分でも驚くほどワクワクしてきたのです。
まだ立ち上げ期で社員も少ないからこそ、社員やアルバイト、ボランティアスタッフが垣根無く意見を言い合って、アイデアをどんどん具現化していく。まるで細胞分裂をしているようなこの段階に、もっとコミットすることができたらいいなと感じました。
また、ずっと目指していた教師との共通点もあると感じています。教師は普段から「見られる」職種であり、生徒を「見守る」職種でもありますよね。ボランティア活動でも、「見られる」部分では、私の外国人旅行者への対応方法や振る舞い方を日本人参加者の方達に見せて実践してもらいます。また、「見守る」部分では、日本人参加者の方達の雰囲気や反応によって一人一人接し方を変えています。私の役割では特に「見守る」部分が重要で、活動中に個人の英語レベルの識別と、コミュニケーション力の識別をする必要があると考えています。参加者の中から優先度を決めてサポートすることで、英語力に不安がある方や交流の勇気が出ない方でも、活動を楽しんでもらえるよう工夫をしています。

英語を使える機会を求めている人はぜひJapan Local Buddyへ参加を

今後、私は関西拠点で活動の統括をしていきます。幾つか構想はありますが、まずは大学生とのつながりを増やして、大学生同士が語学学習の情報交換をできる環境を作りたいです。
また、法改正があって通訳案内士の資格が無くても有料で外国人の方の案内ができるようになったので、この状況は大きなチャンスではないかなと。ナイトウォーキングや、有名な観光地以外のおすすめスポットを外国人の方に案内するツアーなどを企画していきたいと思っています。

わからないときに相談できる仲間も、初めて参加する方向けの活動マニュアルも用意しています。サポート体制は整っているので、英語に少し苦手意識があるけれど勉強したい!と思っている人に参加してもらえると嬉しいですね。

私たちのFacebookページに「いいね!」をしていただくと、ニュースフィードに活動日程やボランティア募集の告知が流れてくるので、ぜひ興味があれば参加してください!
また、もし記事を読んでいただいた方で「東京・名古屋・関西以外の地域でもこの活動をしてみたい!」という方がいれば、skype面接を経て支部の運営側として関わっていただくこともできます。お気軽にお声掛けください!

私自身、JLBの活動に参加するまでは「ボランティア=奉仕・善意の行い」というイメージがありました。けれど、実際にボランティアをしている方は、留学を目指していたり、英語を使う仕事に就きたいと考えているなど海外志向のある方ばかり。みんな英語を使う機会を求めて参加しているんです。彼らに囲まれて活動ができるのはいい刺激になります。それに、明確な目的を持って英語を使うと上達も早いんです!Japan Local Buddyを関西でもっと盛り上げていきたいと思っています。

 

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■堤さんが所属する株式会社ジェイノベーションズの代表・大森さんの記事はこちら↓↓↓

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