2018.01.24

「お好み焼文化」を広島から発信、世界中に根付かせるために

5年、10年、その先を見据え意欲のある社員が積極的に英語を学ぶ

オタフクホールディングス株式会社さん (食品製造)
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お好み焼を食べるときに欠かせないのが「お好みソース」。戦後にお客様の要望に応える形で開発し、さらに日本中に「お好み焼」文化を広めたのは誰もがご存知、お多福グループです。同社は国内の展開はもちろん、アメリカ、中国、マレーシアに工場を構え、現地のニーズに合わせた調味料の販売や、「粉もの」文化の普及活動の強化、訪日外国人向けにお好み焼教室や工場見学を開催してお好み焼文化の魅力を発信するなど、日本、そして海外の食文化を支えるべく事業を展開しています。
現在英語を使う社員は一部に限られているものの、海外展開の拡大や訪日観光客増加の傾向を受け、より多くの社員が仕事で外国人と問題なくコミュニケーションを取れるよう、語学研修のさらなる強化を決断。外国人の日本の食文化への興味の傾向や、同社の取り組んでいる語学研修について、人事部の大原千紗都さまにお話をお聞きしました。

「お好みソース」を起点に世界へ日本の食文化を発信

お多福グループは「お好みソース」を中心に、調味料の開発・製造・販売を行う食品メーカーです。企業理念である「食を通じて『健康と豊かさと和』をもたらし、笑顔あふれる社会に寄与します」のもと、おいしさと健康と幸せをお客様にお届けするため、商品の販売だけでなく、「お好み焼文化」を世界中の地域に根付かせる活動なども行っています。創業の地である広島には、お好み焼の歴史を学ぶことや、焼く体験ができる場である「お好み焼館」があり、訪日観光客も年々増加しています。来館した観光客の方々は、お好み焼を焼くことをとても楽しんでいらっしゃって、特にひっくり返す工程が一番楽しいようです。日本人と比べ、かけるお好みソースの量は意外と少なく、材料の豚肉を抜いたり、キャベツ量を少なくしたりと、元々お好み焼はヘルシーな食べ物を、さらにヘルシーに食べられる方が多くいらっしゃいます。


広島にあるお好み焼館

お好み焼館で外国人観光客に対応する部署の社員はもちろん、海外拠点を担当する営業社員、また調味料の原材料の品質を調査する部署の者なども、英語で書かれた文書をやり取りする必要があるため、英語力が求められていますが、現状はそれ以外の場面で英語の使用はあまり必要なく、全社として緊急性が高まっているわけではありません。しかしながら、アメリカ・アジアで稼働している工場以外にも他のエリアへの進出や、インバウンド需要のさらなる高まりを見据え、社員の英語力の底上げは必須です。以前より、TOEIC対策の語学研修は実施していましたが、実際に「使える英語」を社員に身につけてもらうために、さらなる語学力の強化を決断しました。

TOEIC対策の研修のみから、「使える英語」を目指した研修へ

当社では、TOEIC® Listening & Readingのスコアが、語学力の一つの大きな軸となっています。海外のグループ会社で約1年半の実務研修を行う「海外実務研修」を実施しており、TOEIC700点以上を取得するとその研修に応募できる権利が発生します。また、当社では昇格に必要な資格のひとつとしてTOEIC500点以上を定めています。これまで行っていた語学研修は、集合研修の形でTOEIC対策を講義で受けるもの。語彙力や文法力の向上は見込まれましたが、「使える英語」、つまり会話によるコミュニケーション力を強化してもらいたい、という思いで、オンライン英会話研修の実施を決定、その中でもサポート体制もしっかりしていたレアジョブ英会話の導入を決めました。受講者はこちらで選定することなく、全社員へ案内をし、公募制に。今までは研修への応募可能な条件として、TOEIC500点以上を取得していることが必須でしたが、保持スコアの条件を撤廃して、「英語を学びたい」という意欲がある社員であればだれでも応募できるようにしました。
一方、海外実務研修の対象者に対しては、TOEIC700点という目標がおかれているため、それを達成するためには毎日50分プランで80%以上受講しなければその目標に到達するのは難しいと考え、研修期間である6カ月間終了時に、受講率80%以上を達成することを研修の目標に設定しました。

レッスンをそれぞれ一人で平均80%以上の受講率

オンラインレッスンの内容、受け方などは受講者によってそれぞれ。業務内容も生活スタイルも違うため、朝仕事に出る前に受ける者もいれば、夜帰宅してからまとめて受ける者もいました。私も研修担当者であり受講者でもあったため、レッスンを受けていましたが、お昼休みの時間に会社で1レッスン、夜帰宅してから1レッスン行うように習慣化して取り組んでいました。教材については、やはりTOEIC対策が目標だったため、TOEIC対策のテキストを受ける者が多かったですが、受講者の中にはTOEICを初めて受ける者もいたため、基本的な文法教材から始めたり、ある程度の語学力がある受講者に関しては、記事教材の「DAILY NEWS ARTICLE」で知識を身につけながら学んだりする者もいました。6か月の研修期間が終了し、受講率の平均を見てみると平均80%と非常に高い推移となりました。目標としておいてはいたものの、もともと英語を学ぶ意欲が高い社員が集まっていたこともあり、みなその目標に向けてコツコツ取り組んでいたようでした。それ以外に人事部としても、受講を促進するために、毎月全員の受講状況をメールでフィードバックし、受講率の低い者には直接話を聞くなどサポートを行いました。また、ただ個別の受講だけではなく、研修の途中に2回、講師を招いて全員集合のTOEIC対策を行う機会を設けました。TOEICの解き方のコツを学べただけでなく、同じ時期に一緒に頑張っている者同士が顔を合わせて学ぶことで意識が高まり、モチベーション向上に寄与したのではないかと感じています。

学びたい意欲がある社員は積極的に支援し、会社全体の語学力を高めていく

受講率の高水準だけでなく、目標であったTOEICスコアについても平均点が受講前と比べて76点アップしました。しかし、やはりオンラインレッスンだけではTOEICのスコア向上は難しいため、基礎的な単語や文法の知識などについては個人での学習が必要不可欠だったと改めて感じています。グローバル化の高まりから、英語を使って活躍できる機会が増えていること、また会社での昇格の条件の一つとしてTOEIC500点以上が必須となっていることから、英語を学びたいという社員は少なくありません。その社員をサポートする場としての語学研修は今後も行っていきたいと思います。もともと語学力が低い社員は学びたくてもやり方がわからないこともあり、なかなか踏み出せないと思います。そのような社員のサポートをし、会社全体的に語学力を高めていきたいと考えています。

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