「英語は学んだ方がいい」と思いながらも、なかなか継続できない人も多いのではないでしょうか。過去の挫折経験を振り返り、「習慣化」に重点を置くことが大事だと、株式会社ハロの矢野卓さんは言います。「アドラッテ」「ボケて」「カオコレ」「もぐたんのダイエット記録」などを展開し、累計1,000万ダウンロードを超える事業に育てた矢野さんは、37歳のときにスマホアプリ事業を売却し、その後グローバル人材紹介業を展開するために英語学習を開始。それから今まで約1年で800時間も学習し、海外で英語だけのミーティングに参加し、意見交換や提案ができる英語力を習得したそうです。そんな矢野さんに、英語学習を習慣化するために大事なことをうかがいました。
通訳に頼るのではなく、自分の言葉で伝える必要がある
2016年、37歳のときに、それまでやっていたスマートフォンアプリの事業を売却して「次はグローバル人材紹介業を始めよう」と決めました。しかし、当時の僕の英語力は、海外旅行で単語を並べて要件を伝えられるぐらいのレベルでした。英語を習得してビジネスをスムーズに進めるためにも、英語学習を始めることにしたんです。
時間を割いて英語学習をするよりも、通訳をお願いしたり、技術がさらに発展すれば自動翻訳に任せたりする方が効率的だという考えもありますよね。しかし、僕は過去の経験から自分の言葉で直接、伝えられるようになる必要があると思いました。以前、自分の英語力が足りなかったがゆえに、海外とのビジネスが失敗したことがあったんです。
韓国の会社とパートナーシップを組んで事業をやっていた際に、シビアな交渉や踏み込んだ打ち合わせをする上で、通訳を通したら上手く伝わらなかったことがありました。結果的にそのビジネスは決裂してしまって、「もっと自分で感情表現ができたら、違う結果があったのではないか」と反省しました。だから、「英語を習得して、直接話せるように僕はなる」と決めました。
自分に必要なことを洗い出して戦略的に学習を進める
これまでにも何度か英語学習に挑戦したことがありますが、三日坊主で続きませんでした。留学の経験もないし、これまで英会話についてちゃんと学んだこともない。そんなところから「英語を話せるようになること」を目指すのだから、戦略的に学習を進めていく必要があると思いました。
「英語を話せるようになる」という目標に対して、その目指す「レベル」は人によって違うと思います。僕の場合は、海外でシビアな交渉をしたり、パートナーシップを築いたりできる高い英語力を目指していました。そのレベルに到達するまでに必要な学習時間が3000時間以上だそうで、中高大学まで既に約1500時間は学習しているので、残り1500時間の学習が必要な計算になります。1日2時間学習したとしてもおよそ2年かかりますね。
これだけ継続しなければならないので、戦略なしに挑むと、成果が出ないどころか途中で挫折してしまうかもしれません。そこで『英語上達完全マップ』を参考にして戦略を立て、土台固めから始めることにしました。また、英語学習を続けるためのモチベーション管理やセルフマネジネメントの本もたくさん読み、参考にしました。
意志力を確保するために「やらないこと」を決める
セルフマネジメントのために読んだ本の中だと、『WILLPOWER 意志力の化学』がかなり参考になりました。意志力というのは有限で、朝起きてから夜寝るまでの間に何かを選択したり、意思決定したりすることによって、どんどん削られるものだという考え方です。英語学習の意志力を確保するには、何かをやめる必要があると知りました。
意志力を確保するために、まずは家を引っ越しました。もともと広い家に住んでいたのですが、掃除がラクな狭い家に引っ越して、意志力に余裕を生みました。他にも、洋服や靴を4分の3ぐらい捨てて、洋服選びに割いていた意志力を削減しました。洋服は、もう白いTシャツやYシャツしか着ないという、ユニフォームみたいな感覚ですね(笑)。自分が重要じゃないと思うことは、最小限の選択ですむように工夫しました。
あとは、よく驚かれるのですが、早起きをして勉強時間を捻出するために部屋のカーテンを捨てました。朝自然と光が入ってきて目覚めるので、生活リズムが整いましたよ。
英語学習が続かない人にありがちなのが、夜に学習時間を確保するけど、その頃には仕事や家事に追われて精神的にヘトヘトになり、学習に集中できなくて続かないということです。そうならないためには、学習時間の確保だけでなく、意志力の残量を英語学習のために残しておくことが大事だと感じます。
仲間を見つけて、励まし合いながら長距離を走る
英語学習を長期間続ける上で最も大事なのが「一人でがんばらないこと」です。これまで英語学習が続かなかったのは、一人でがんばろうとしたからだと思います。そこで、自分と似た状況で英語学習を始める人のコミュニティLEVELEST(レベレスト)に入って、2週間に1回学習内容を共有することにしました。
学習内容や工夫したことを仲間に共有し、そのプロセスに対して「よく頑張ったね」「すごい!」といったフィードバックを仲間からもらったからこそ、この長距離走を走ることができたのだと思います。大人になると、がんばっても褒めてもらえないことの方が多いんですよね。でも、誰かに褒めてもらうというフィードバックは、継続する上でとても大事だと思うんです。自分で「褒めてもらえる環境」をつくることや、「褒め合う仲間を見つける」ことが重要だと思います。
それに、同じようにがんばる仲間がいると、周りに感化されてモチベーションを保ちやすいというメリットもあります。仕事でも、運動でも、勉強でもそうです。英語学習を継続させるためには、英語学習仲間を見つけて、一緒に励ましあいながら進めるのがおすすめです。
日本語が通じない国や地域でも事業展開を目指して
日本はまだ「これからグローバル化していくぞ」という段階です。外国人を採用する企業も増えてきましたが、まだまだ “日本語を勉強してくれている外国人” に頼っている状況です。世界的に見たら、日本語を勉強している外国人はものすごく少ないですし、日本の存在感が低下していることは直視した方が良い変化です。今後労働力が確保できなくなっていくと感じます。AIやロボットで労働力を補える可能性はありますが、現状ではその進歩に期待しすぎているように思います。また、消費の観点が抜け落ちています。
だから、僕たち日本人が外国語を話せるようになって、一緒に働ける外国人の幅を広げる必要があると思うんですよね。僕は、外国語の学習には時間がかかるとしても、絶対に習得した方がいいと思います。習得の過程で、日本のコンビニや飲食店で働いている外国人に対して、尊敬と感謝の気持ちを持てるようになります。彼らは、本当にすごいんです。この感覚を持つだけで、日本の器が大きくなると思います。
僕は今、日本で働きたいと思っている外国人に対して、日本語とプログラミングスキルを習得頂いた上で、日本企業への就職・転職活動をサポートする事業を展開しています。現在展開している韓国とベトナムでは、現地で日本語が通じる場面が多いです。しかし今後は、日本語が通じない国や地域にも展開したいと思っています。そのために、自分の英語力を「議論がリードでき、シビアな局面でも、自分の言葉によって打開できるレベル」まで向上させて、海外展開を加速していきたいです。褒めてもらいながら(笑)。
矢野さんが実践されてきた英語学習の内容については、ご本人のブログ記事『37才から英語学習を再開して、習慣化するためにやったこと』にて、くわしく紹介されています。
Profile
株式会社ハロ創業者&代表取締役社長。1979年、静岡県浜松市生まれ。慶應文学部社会学専攻&シナリオ作家養成講座を修了。2008年、「希望が生まれるシカケをつくる」ために株式会社ハロを創業。2013年、ベトナム・ホーチミンにHALO ASIA, Incを設立。2016年にスマホアプリメディア事業を売却。趣味は、いいね集め。婚活中の38才。
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