秋山寛子さんは、眼鏡ショップの販売員としてのお仕事や家事・子育てを両立しながら、毎日休まず英語学習を続けています。学生時代から英語が好きで学習を続けていた秋山さんですが、それは苦手なことが多い自分にとって、唯一誇れるものが英語だったからだといいます。今回は秋山さんに、出産を機に一度は諦めた英語学習の再開を突き動かした夢や、日々の学習法についてお話を伺いました。
勉強が苦手だった自分が唯一得意で好きだった英語
小学生のときに、仕事で英語を使っているいとこから、「英語が出来ると将来絶対に役に立つよ」と言われていたことで、英語に対しての関心は小さい頃からありました。中学や高校に進むにつれて、どんどん英語を好きな気持ちが大きくなっていったのは、他の教科が壊滅的に苦手だった分、英語だけは頑張らないといけないという気持ちがあったからだと思います。高校では、英語に特化したコースに入り短期留学をし、大学でも、英語を専攻する学科へ進学しました。外国人とのコミュニケーションに関心を深めていく中、外国の方が、来日した際にどのようなことに不便を感じるのかが気になり、調査して卒業論文を書きました。
もちろん英語を使える仕事へ就きたいと思っていたので、大学卒業後は航空会社への就職を目指していましたが、残念なことにちょうどその年は採用をしていませんでした。そのため、案内業務が主の接客ができる点で航空会社のお仕事に近いと感じた金融機関に就職しました。
就職後の目標は、社内で「英語関連の仕事なら秋山に頼もう」と思ってもらえるような存在になることでした。それは学生時代の英語と同じく、人に抜き出た、自分の強みを持つため。窓口には外国人のお客様もよく来られていたので、英語の案内ボードを作成したり、両替やATMの使い方、ときには道案内などに対応したりといったことを行いました。また、Q&A形式でよく聞かれることを英語でノートにまとめて店舗に置いておくことで、私が不在の際に外国人のお客様が来店されても、他のメンバーが対応できるような仕組みも作りました。
通訳案内士の夢が生まれたことを機に英語の勉強を再開
英語を使う機会を積極的に作ったことで仕事はとても充実していました。しかし、子どもが生まれてからは、子育てに手一杯で英語の学習が全然できていませんでした。
2013年9月に、2020年の東京オリンピック開催が決定しました。そのとき、直感で「通訳案内士としてオリンピックに関わりたい!」と思いました。英語の大切さを教えてくれたいとこや、中学の英語の先生からも「将来やりたいことができたときに絶対役に立つから、英語は勉強しておきなさい」と言われて、自分なりに英語に関わってきたものの、正直ずっと自分の中で英語に対する目標は漠然としたままでした。しかし、東京オリンピック開催のニュースを聞いてはじめて、この夢を見つけるためにこれまで英語を学習してきたのかもしれないと思えたのです。
2015年には、東京観光ボランティア「おもてなし東京」に参加しました。東京オリンピックに向けて、外国人観光客を案内するために生まれたチームです。駅の近くや観光地で道に迷っていたり、何かに困っていたりする外国人の方を見つけては、声を掛けてグループで案内しました。これまでも、普段生活している中で、そういった方を見かけたら声を掛けるようにしていましたが、正式な活動として行うことで改めて発見があり、楽しさを感じることができました。
同じ時期に、以前留学したときのホストファミリーとその友人家族が日本に遊びに来ました。そこでも通訳案内士の真似ごとをしながら日本を案内したことで、彼らは日本を気に入って帰ってくれたのです。それがとても嬉しくて、これが仕事になったらどんなに幸せだろうかと実感しました。
その後、通訳案内士の夢を叶えるために英語の勉強を再開しようと、いくつか英会話スクールの見学に行きました。しかし、どのスクールも決まった曜日・時間に通わないといけないものばかり。家事や子どもの塾の送り迎えに加えて、眼鏡ショップの販売員の仕事も始めていた私にとって、日時を決めてレッスンを受けることは厳しいものでした。そんなときに家族から教えてもらったのが、オンラインでの英会話レッスンです。いくつかサービスを体験してみた上で、レアジョブ英会話の受講を決めました。
細切れの時間を活用すれば仕事や家事・子育てとの両立もできる
レッスンは、仕事から帰宅して家事を片付けた後の夜の時間帯に毎日受講しています。心がけているのは、どんなに細切れの時間だったとしても英語学習の継続を怠らないこと。そのため、朝は支度をしながら題材のリスニングを行い、夕飯の前には題材記事の要約文とQ&Aを作って勉強しています。子育てとの両立の秘訣は、子どもと一緒に頑張ることです。息子も塾の宿題や英語の学習をしているので、「一緒に頑張ろう!」と声を掛けて励んでいます。
もちろん仕事や家事、子育てと両立しての英語学習は簡単ではないですが、辞めたいと思ったことはありません。その理由の一つは、習っている先生がよくしてくれる方ばかりなので、レッスンをキャンセルするのが申し訳ないという気持ち。でも何より一番のモチベーションになっているのは、通訳案内士の夢です。街中でも「2020年東京オリンピック」の文字をよく見かけます。そのたびにドキッとしますし、このときに夢を叶えられるように努力をしなければと気が引き締まるのです。
TOEIC学習の秘訣はこれと決めたテキストを完璧に仕上げること
TOEICの学習で使用している参考書やノート
学生時代に先生から勧められたこともあって行っているのが、シャドーイングです。ネイティブの方の発音を真似ることで、文節などの切り方、抑揚の付け方を学ぶことができます。また、リスニング力を強化するために、アプリの「ディクトレ」や「TOEIC presents English Upgrader」を使ってディクテーションをしています。他には、年2回TOEICを受験しています。少し目を通すだけでビジネスレターに記載されている内容が汲み取れるようになりたいと思っていたので、限られた時間でビジネス英語を理解する練習にと始めました。スコアとして目に見える形で、今の自分の実力が把握できることも受験するメリットだと思います。
TOEICを勉強する上でのポイントは、使うテキストを絞って、暗記するほどに何度も繰り返し取り組むことです。不安になってたくさんの参考書に目移りするのではなく、書店で手に取ってみて、自分に合いそうだと感じたテキストを極める方がいいと思います。文法問題・穴埋め問題・長文問題などテーマごとに一冊テキストを決めて、過去問題集やTOEIC講座の講師の方が書いた参考書を、間違いが無くなるまで解いています。3冊を完璧にして臨んだ回では795点を取ることができました。
2020年に夢を掴む自分になりたいから努力を続けることができる
通訳案内士として、東京オリンピックを大成功に収める一員になりたいです。
また、オリンピック開催後も通訳案内士として、ガイドブックでは知ることのできない日本の魅力や奥深さを伝えることができればと思っています。
怠けてしまうことや妥協することは簡単です。でも今の自分がどうするかで、未来の自分がどうなるのかが決まると思います。私がなりたい自分は、妥協した先ではなく、自分に打ち勝って頑張った先にいます。2020年に「もっと頑張っていればよかった」と後悔するのは嫌なので、妥協せずに勉強を続けていきたいです。