世界的なアンチ・ドーピングの流れを受け、2009年、日本においてドーピング防止活動を進めるために「スポーツファーマシスト」=“ドーピングの情報や知識などを習得した薬剤師に与えられる資格”が誕生しました。「スポーツファーマシスト」の仕事は、薬の正しい使い方を競技者やスポーツ愛好家などに指導したり、薬の情報提供や健康教育の普及・啓発を行ったりまで、多岐にわたります。
今回の「WHY ENGLISH」では、子育てがひと段落したタイミングで「スポーツファーマシスト」の資格を取得し、東京オリンピックに向けて英会話も学び始めたという五十嵐綾さん(40歳)にお話を伺いました。
国際大会でアスリートのサポートをするのが夢
——普段のお仕事内容と、スポーツファーマシストの資格を取ろうと思われたきっかけを教えてください。
2人の子どもを育てながら、調剤薬局で薬剤師として働いています。学生の頃から、大好きなスポーツに携わる仕事がしたかったのですが、まずは手に職を付けようと薬剤師になりました。
その後、「スポーツファーマシスト」という資格を知り、ずっと取りたいと思っていました。絶対に私にぴったりですから(笑)。ただ、子どもが小さかったので、東京で開催される資格試験や研修には、遠くて参加できませんでした。2015年にようやく受験することができて、2016年4月から公認スポーツファーマシストとして活動しています。
——「スポーツファーマシスト」の具体的な活動内容を教えていただけますか?
例えば、先日、中学生と高校生の選手を持つお母さんから、「子どもが国体に出るのですが、この薬を使って大丈夫ですか?」という問い合わせにアドバイスしました。ネットで「スポーツファーマシスト」と検索して、私にたどり着かれたようです。また、競技大会にボランティアとして参加して、スポーツファーマシストの活動のPRなどをすることもあります。
今はまだ「スポーツファーマシスト」として、日本人への指導・PRがメインですが、東京オリンピックが決まったこともあり、外国人アスリートのサポートもしてみたいという思いが強くなっています。
抵抗があったオンライン英会話も、体験レッスンが楽しくて夢中に
スポーツファーマシストのPR活動の様子
——英会話を始められたのは、お仕事に必要だったからですか?
海外からの観光客や、病院などで日本語が話せなくて困っている外国人に対応したことはありますが、薬局で英語が必要になる場面はまだそう多くありません。今後、「スポーツファーマシスト」として国際大会で活動するためには、やはり英語を話せるようにならなければ、と思ったのが一番のきっかけです。
——英会話学習はいつ頃から始められのでしょうか?
中学3年生のときに英会話教室をやめてからは、英語とは疎遠の生活でした。しかし、また英会話を始めようと決意して、英作文の添削サービス、薬剤師のための英会話教室に参加するなどいろいろやってみたのですが、何をしてもあまり上達しないなと感じていました。
そんなとき、オンライン英会話の存在を知ったものの、最初はスカイプで知らない人と話すことに抵抗があったんです。でも、始めてみたら楽しくて、ほぼ毎日受講していました。ただ、去年体調を崩して2か月間休んでしまったんです。もう戻れないかなと思ったこともありましたが、今年の1月にグアム旅行へ行くことが決まっていたので、それに向けてある程度話せるようになりたいと復帰したんです。そうしたらやっぱり楽しくて、その後は順調に続けられています。
東京オリンピック開催決定も、世界に目を向けるきっかけに
——英語を勉強する時間は、どう捻出していますか?
レアジョブ英会話のレッスンは、なるべく毎日、家事が終わった午後8時から11時の間に受けるようにしています。子どもたちがリビングにいる隙を狙って、子ども部屋を借りてレッスンをしています(笑)他には、通勤時間や寝る前などの隙間時間を活用して、文法やフレーズの勉強をしています。
その日レッスンで話した内容をノートに記して復習
たとえば、「瞬間英作文」を常に持ち歩いて会話のためのトレーニングを行い、ポッドキャストでは「バイリンガルニュース」や「NHKニュースの英語版」などを聞いています。また、TOEIC(R)の受験も考えているので、リスニング強化のために「TOEIC(R)presents EnglishUpgrader」というアプリを使っています。
——英会話でここまでできるようになりたい、といった目標はありますか?
まずは日常会話ができるレベルに到達したいです。「スポーツファーマシスト」の検索項目の「英語対応可」にチェックしてもらえるようになるのが短期的な目標です。
長期的には、2020年の東京オリンピックまでには、通訳兼ボランティアとして海外の選手や関係者のサポートができるようになりたいです。国内でオリンピックが開催されるからには、やはり自分も関わりたいと思っています。
——ありがとうございました。
「スポーツファーマシスト」には英語が必須ではないものの、話せることでご自分の活動範囲が広がることが、五十嵐さんの英会話を続けるモチベーションとなっているようです。
レアジョブ英会話をはじめ、毎日英語に触れるよう意識しているという五十嵐さん。外国人観光客がどんどん増えている昨今、英語が話せる薬剤師さんは、今後ますます活躍の場が広がっていくでしょう。2020年、東京オリンピックという大舞台で、五十嵐さんが外国人アスリートをサポートしている姿が見られるかもしれませんね。